“銀杏返”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いちょうがえ56.7%
いちょうがえし23.3%
いてふがへ6.7%
いてふがへし6.7%
いちやうがへ2.5%
いてうがへ1.7%
ゐてふがへし0.8%
いてふがえし0.8%
ゐてうがへし0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
僕は巻煙草をふかしながら、唐桟柄とうざんがらの着物を着た男や銀杏返いちょうがえしに結った女を眺め、何か矛盾に近いものを感じない訳には行かなかった。
本所両国 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ちょっと指先で畳をこすりさまに、背後うしろを向いて、も一度ほほほ、と莞爾にっこりすると、腰窓をのぞいていた、島田と銀杏返いちょうがえしが、ふっと消える。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこの長火鉢の前には、銀杏返いてふがへしの變に青つぽく光る羽織をだらりと引つ掛けた女が、いぎたなく坐つて卷煙草をふかしてゐた。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
我々日本の洋畫家が島田や銀杏返いてふがへしの女の裸體畫に成功しない限り洋畫は日本の生活とは一致しないものだと云ふやうな事であつた。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
銀杏返いちやうがへしにつた小さなませた子守が、ひそかに言つて眉をひそめた。するとそこに目のくるりとした小さな子が、不意に聲高く叫んだのである。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
黒く多き髪の毛を最惜いとをしげもなく引つめて、銀杏返いてうがへしのこはれたるやうに折返し折返し髷形まげなりに畳みこみたるが、大方横に成りて狼藉らうぜきの姿なれども
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
るたけ順礼じゆんれいとほくよけて、——人気配ひとけはひうしろ振向ふりむけた、銀杏返ゐてふがへし影法師かげばふしについて、横障子よこしやうじうらまはつた。みせうら行抜ゆきぬけである。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と男のかほをそつとながめて、ほろりとした。年の二十三か四でもあろう。頭髪かみ銀杏返いてふがえしとうに結つて、メレンスと繻子の昼夜帯の、だらり、しつかけに、見たところ、まだ初々しい世話女房であつた。
もつれ糸 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
銀杏返ゐてうがへしあかがほで、白粉おしろいくしてた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)