硯と殿様すずりととのさま
犬養木堂の硯の話は、あの人の外交談や政治談よりはずつと有益だ。その硯については面白い話がある。徳川の末期に鶴笑道人といふ印刻家があつた。硯の善いのを沢山持ち合せてゐたが、その一つに蓋に大雅堂の筆で「天然研」と書いたのがあつた。阿波の殿様がそ …