かわ)” の例文
「ああ、おとうさんとかわへいってってきたんだ。こんど、きみもいっしょにゆかない?」と、いきいきとしたかおげたのであります。
すいれんは咲いたが (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしわたくしは三かわらしいものをわたったおぼえはない……閻魔様えんまさまらしいものにった様子ようすもない……なになにやらさっぱりちない。
そして二、三ぐんぐんしたとおもうと、めりめりとひどいおとがして、木はかわの上にどっさりとたおれかかって、りっぱなはしができました。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そして、かわにとびこんでこうぎしげようか、やぶなかにもぐりこんで、姿すがたをくらまそうか、と、とっさのあいだにかんがえたのであります。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ところが、かざむきによって、そのくさいにおいが、かわからまちのほうへながれていくので、またそこからもんくがでました。
また日高郡原谷はらたにという所でも、合祀の遺恨より、刀で人を刃せしことあり。東牟婁郡佐田さだおよびそえかわでは、一昨春合祀反対の暴動すら起これり。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
ほか家鴨達あひるたちは、こんな、あしすべりそうな土堤どてのぼって、牛蒡ごぼうしたすわって、この親家鴨おやあひるとおしゃべりするより、かわおよまわほうがよっぽど面白おもしろいのです。
青葉の茂みをわけながら、てんかわというところから山を越えて、摩尼まにの御山とよばれる高野山に行った。
てんかわというところでの大敗、藤本鉄石ふじもとてっせきの戦死、それにつづいて天誅組てんちゅうぐみの残党が四方への離散となった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
地球ちきゆうからえる火星くわせいくろいところは、だからうみといふよりもぬまか ちいさなぬまあつまったのか、かわだ。)
この手紙をよこした人は本誌の読者が近づきであるところの「なかかわ」「よめぬすみ」の作者である久保よりえ夫人である。この夫人はこの上野未亡人の姪に当る人である。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
うららかな春日はるびが丸窓の竹格子たけごうしを黒く染め抜いた様子を見ると、世の中に不思議と云うもののひそむ余地はなさそうだ。神秘は十万億土じゅうまんおくどへ帰って、三途さんずかわ向側むこうがわへ渡ったのだろう。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
此方こっちは反対成功祝賀会を開いてお祭り騒ぎをしたんだからお話にならない。現に田川の伯父さんはその時酔っぱらって、角町かどまちからの帰りに百けんかわへ落ちて死にかけたと言っている」
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
みちというものはかわによくています。それは、かわというものがもともとみちだからです。つまり、川というのは自然しぜん出来できた道で、人は七ひとびのくつをはいてそこを歩きまわるのです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
明治十四年(1881)私が二十歳の時の九月に、植物採集のため同国幡多はた郡佐賀村大字こぶしかわの山路を通過した際その辺で実見したが、しかしそれは敢えて別種なクリではなかった。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「それでもさっきのあのかわぷちで大根を洗っていたぜ」と、半七は云った。
半七捕物帳:15 鷹のゆくえ (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
六月中、うみかわいけのほとりに、水の神をまつるしきたりはあるか。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
今日きょうは、かぜがおもしろくないと、つい、自分じぶんのことのようにかんがえるのです。仕事しごとをするようになって、もうなんねんかわへいきません。
窓の内と外 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かわつつみたとき、紋次郎君もんじろうくん猫柳ねこやなぎえだってかねにささげた。ささげたといっても、かねのそばにおいただけである。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
先刻せんこくそなたは三かわや、閻魔様えんまさまことかんがえていたらしいが、あれは仏者ぶっしゃ方便ほうべんである。うそでもないがまた事実じじつでもない。
はちかつぎはきながら、どこへ行くというあてもなしにまよあるきました。どこをどうあるいたか、自分じぶんでもらないうちに、ふと大きなかわきしへ出ました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そのなかでもこと日当ひあたりのいい場所ばしょに、かわちかく、気持きもちのいいふる百姓家ひゃくしょうやっていました。そしてそのいえからずっと水際みずぎわあたりまで、おおきな牛蒡ごぼうしげっているのです。
それから二人ふたりが、くさうえへこしをおろしました。じっと、かわのおもてをみつめていると、あおみずうえへ、緑色みどりいろそらがうつりました。
花かごとたいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
かわやぶしたながれ、そこにかかっている一つの水車すいしゃをゴトンゴトンとまわして、むら奥深おくふかくはいっていきました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ある日さるとかにはお天気てんきがいいので、れだってあそびに出ました。その途中とちゅう山道やまみちさるかきたねひろいました。またしばらくくと、かわのそばでかにはおむすびをひろいました。かには
猿かに合戦 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
入口いりぐちって四辺あたりると、見渡みわたかぎやまばかりで、うみかわひとつもえません。
なんでも、あおいかえるをはりにつけて、どろぶかかわで、なまずをり、やまからながれてくる早瀬はやせでは、あゆをるのだというはなしでした。
都会はぜいたくだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
盗人ぬすびとたちは、きたからかわ沿ってやってました。はなのきむらぐちのあたりは、すかんぽやうまごやしのえたみどり野原のはらで、子供こどもうしあそんでおりました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
こうはちかつぎはおもいながら、かわのふちへりていって、げようとしました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しょうちゃんはあかいじてんしゃにのって、んだかいこをかわにながしにいきました。そのかえりに、あたらしいくわのをもらってきました。
正ちゃんとおかいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
いながら、そこらをまわしますと、ちょうどかわきしふたかかえもあるような大きなすぎの木がっていました。金太郎きんたろうはまさかりをほうりして、いきなりすぎの木に両手りょうてをかけました。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かぜがきますと、いままでの、うつくしいあかは、ぱたりとえだからそらはなれて、ひらひらとって、したかわなかちてしまいました。
三匹のあり (新字新仮名) / 小川未明(著)
するともなく、ひどいしけになって、ふねはずんずんかわくだってうみほうながされました。それからかぜのまにまにながされて、とうとう三日三晩みっかみばんなみの上でらして、四日よっかめに一つのしまきました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
びきのありは、あまり不意ふいなことにびっくりしましたが、がついたときには、あかうえって、かわうえながれていたのです。
三匹のあり (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、かわみずは、よくんでいましたから、うえからでものぞけば、この三びきの子供こどもらがあそんでいる姿すがたがよくわかったのであります。
赤い魚と子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふゆは、かわよりもいけれないのですか。わたしは、いつかいけさかなをすくっているひとたことがありますよ。」と、そのひとはいいました。
北の国のはなし (新字新仮名) / 小川未明(著)
どこから、こんなうおってくるのだろうと、わたくしは、はやくかわへいって、りのできるころになればいいとおもっていました。
どこかで呼ぶような (新字新仮名) / 小川未明(著)
二郎じろうちゃん、あすこがいいよ。」と、ゆうちゃんが、かわがりかどをさしました。そこには、おじいさんが、りをしていました。
小さな妹をつれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、野原のはらにさくあかいゆりよりも、はなやかであったし、またかわふちでかおる、のばらのはなよりも、にしみるまぶしさでありました。
空にわく金色の雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二郎じろうちゃんは、ゆうちゃんのいえにもいませんでした。二郎じろうちゃんとゆうちゃんは、ちいさなみいちゃんをつれて、かわりにかけたのです。
小さな妹をつれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
やっとけました。百しょうおどろきました。ちいさな、かわなかからだ半分はんぶんちて、自分じぶんみちでもないところにたおれていたからです。
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんのたのしみもない、このかわさかなたちは、どんなにうえいて、みずおもてうつったはなをながめてうれしがったでありましょう。
赤い魚と子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「こんなかわに、なにがいるもんか。もっとみずふかい、日当ひあたりのいいところでなくては、さかなってきはしない。」と、猟師りょうしはいいました。
北の国のはなし (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そうです、そのかわは、ちいさなかわでしたが、なまずのおおきいのがいましたよ。」と、おじさんは、星空ほしぞらをながめてかたりました。
子供の床屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのも、ここへやってくると、かわみずはゆるくながれて、そらをゆく、しろくもかげを、ゆったりとした水面すいめんにうつしていました。
子供はばかでなかった (新字新仮名) / 小川未明(著)
正二しょうじは、なつのころ、にいさんとかわへいっしょにいって、とってきたちいさなさかなを、すいれんのはいっている、おおきなはちなかれて、っていました。
兄と魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
毎年まいとし、いまごろになると、ちょっとでも、やまへいくか、また、りざおをさげて、どこかとおくのかわかけなければ、がすまないのだよ。」
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「しかし、こういう月夜つきよに、わたしたちは、よくあのおそろしいへびにねらわれたものだ。それをかんがえると、二と、あのかわかえりたいとおもわない。」
つばめと魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくは、こうちゃんの背中せなかに、ほくろのあるのをっているよ。いっしょに、かわおよいだときにたんだもの……。」と、ぜんちゃんがいいました。
草原の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おまえさん、こんなところでなにがれるものかな。こんなかわさかななどすんでいやしない。」と、百しょうはいいました。
北の国のはなし (新字新仮名) / 小川未明(著)