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鼠麹草
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はゝこぐさ
さうしては
又凡ての
幼いものゝ
特有で
凝然として
居られなくて
可憐な
尾をひら/\と
動かしながら、
力に
餘る
水の
勢にぐつと
持ち
去られつゝ
泳いで
居る。
與吉は
鼠麹草の
花を
水へ
投げた。
「それ
見ろな
怒られつから、そら
此處にえゝものが
有つた」おつぎは
田圃にある
鼠麹草の
花を
挘つて
筵へ
載て
遣つた。さうして
又危いやうにそうつと
田へおりた。
與吉は
只鼠麹草の
花を
弄つて
居た。
鼠麹草の
花が
皆投げ
竭されて
與吉は
又おつぎを
喚んだ。