黒痣ほくろ)” の例文
新「ヘエ、成程鼻の高い男子おとこだ、眼の下に黒痣ほくろが有りますか、おゝ成程、だが新五郎様と云う証拠が何か有りますか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
我今まで恋とう事たるおぼえなし。勢州せいしゅう四日市にて見たる美人三日眼前めさきにちらつきたるがそれは額に黒痣ほくろありてその位置ところ白毫びゃくごうつけなばと考えしなり。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
文吉が顔をのぞき込んだ。「おい。亀。目の下の黒痣ほくろまで知っている己がいる。そんなしらを切るな」
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
頭は(紺)頭は貴方の様な散髪で(荻)顔に何か目印があるか(紺)左の目の下に黒痣ほくろ
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
もらひ持參せし由其酒にて醉伏ゑひふし相果あひはて候事と存じられ候と聞より彌々いよ/\不審いぶかしく思ひ次右衞門申樣右寶澤の顏立かほだち下唇したくちびるちひさ黒痣ほくろ一ツ又左の耳の下に大なる黒痣ほくろ有しやと聞に如何にも有候とこたへるにぞ然ば天一坊は其寶澤に相違さうゐなしと兩士は郡奉行遠藤喜助にむかひ其寶澤の衣類等いるゐとう御座候はゞ證據しようこにも相成るべく存じ候へば申受度と云に喜助きすけ申樣夫は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
瓜二つとはういうのを云うだろうと思われ、其の上両児ふたりとも左の眼尻にぽッつり黒痣ほくろが寸分違わぬ所にあります。
たゞ新五郎様と云う御惣領ごそうりょうの若様が有ったが、今居れば三十八九になったろうけれども行方知れず覚えて居て下さい、鼻の高い色の白い男子おとこだ、目の下に大きな黒痣ほくろが有ったよ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
伊之吉といえば勝五郎の世話で深川の大芳棟梁のとこへ養子にやったお若の双児ふたごであるなと思召しますから、いよ/\恟りなされて左の眼のふちの黒痣ほくろにお眼をおけあそばしますと