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鳴音
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なくね
ふりがな文庫
“
鳴音
(
なくね
)” の例文
折から梢の蝉の
鳴音
(
なくね
)
をも
一時
(
いちじ
)
に
止
(
とど
)
めるばかり
耳許
(
みみもと
)
近く響き出す
弁天山
(
べんてんやま
)
の時の鐘。数うれば早や
正午
(
ひる
)
の九つを告げている。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
どこやらの
溝池
(
どぶいけ
)
でコロコロと
蛙
(
かわず
)
の
鳴音
(
なくね
)
を枕に、都に遠い大和路の旅は、冷たい
夜具
(
やぐ
)
の上——菜の花の道中をば絶望と
悔悟
(
かいご
)
と
且
(
か
)
つ死の手に追われ来た若者……人間欲望の結局に泣いて私は
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
鳴音
(
なくね
)
は聽かず
何日
(
いつ
)
かまた鳴なむ聲か
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
鳴音
(
なくね
)
はまたも
聞
(
き
)
かれぬ。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
秋の夜も冬近くなった頃には
蟋蟀
(
こおろぎ
)
が人の留守を幸に忍び込んで長椅子の下や屏風のかげに
鳴音
(
なくね
)
を立てている。閉めきった窓のすき間から月の光が銀の糸のようにさし込んでいる事もある。
写況雑記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
蜀山人
(
しょくさんじん
)
が
吟咏
(
ぎんえい
)
のめりやすにそぞろ
天明
(
てんめい
)
の昔をしのばせる
仮宅
(
かりたく
)
の
繁昌
(
はんじょう
)
も、今は
唯
(
た
)
だ
蘆
(
あし
)
のみ茂る
中洲
(
なかす
)
を過ぎ、気味悪く人を呼ぶ
船饅頭
(
ふなまんじゅう
)
の声を
塒
(
ねぐら
)
定めぬ
水禽
(
みずとり
)
の
鳴音
(
なくね
)
かと怪しみつつ
新大橋
(
しんおおはし
)
をも
後
(
あと
)
にすると
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
桔梗
(
ききょう
)
や
紫苑
(
しおん
)
の紫はなお
鮮
(
あざや
)
かなのに、早くも盛りを
過
(
すご
)
した
白萩
(
しらはぎ
)
は泣き伏す女の乱れた髪のように四阿屋の
敷瓦
(
しきがわら
)
の上に流るる如く倒れている。生き残った虫の
鳴音
(
なくね
)
が露深いその
蔭
(
かげ
)
に糸よりも細く聞えます。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
鳴
常用漢字
小2
部首:⿃
14画
音
常用漢字
小1
部首:⾳
9画
“鳴”で始まる語句
鳴
鳴子
鳴海
鳴物
鳴動
鳴門
鳴雪
鳴神
鳴鏑
鳴海絞