鳥影とりかげ)” の例文
しろくもかんでいるのが、島影しまかげのようにも、んでいる鳥影とりかげのようにもえたのであります。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
開ける雲雀は嬉々ききとしてツンツン啼きながら高く高くのぼって行き姿をかすみの中にぼっする女師匠は見えぬ眼を上げて鳥影とりかげを追いつつやがて雲の間から啼きしきる声が落ちて来るのを
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
私のかおを見て笑っている……其時思い掛けず「親が大病だのに……」という事が、鳥影とりかげのように私の頭をかすめると、急に何とも言えぬ厭な心持になって、私は胸の痛むように顔をひそめたけれど
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ちらと鳥影とりかげが其障子に映つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
子供こどもは、鳥影とりかげのまったくそらなかまれて、えなくなるまで見送みおくっていました。やがてれてしまうと、さらさらとおとをたて、西風にしかぜが、雨戸あまどきつけるのです。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
鳥影とりかげを見て
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)