しゃけ)” の例文
殺したに違いあるまい。うんにゃ、隠したって駄目だ。お上の眼はくらませても俺の眼は誤魔化ごまかせねえ。あの水の中で、しゃけのように腹を
尤ものちには悪友の悪感化を受けて、友達と一緒に近所の掃溜はきだめへ首を突込み、しゃけの頭をしゃぶったり、通掛とおりがかりの知らん犬と喧嘩したり
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
震えるない震えるない、何もそう、しゃけ天窓あたまを刻むようにぶりぶりするこたあねえ、なぐり込に来たのなら、たすきがけで顱巻はちまきよ、剃刀かみそりでも用意をしていらあ。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
干物ひもののおいしいのを持って来て欲しいとか、この間のしゃけ不味まずかったとか、そういうようなことを言っている。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
節季せっき師走しわすに気の毒だな。あんまりいい御歳暮でも無さそうだが、しゃけの頭でも拾う気でやってくれ」
半七捕物帳:17 三河万歳 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
山猫は、しゃけの頭でなくて、まあよかったというように、口早に馬車別当に云いました。
どんぐりと山猫 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
どうも変に痛いねえ、旦那え、屹度これから改心して國藏が畳の上で死なれるようになった時にゃア旦那へ意趣返しのしようはねえが、わっちが改心した上で鼻の曲ったしゃけでも持って来たらば
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
張り揚げて「おや棚へ上げて置いたしゃけがない。大変だ。またあの黒の畜生ちきしょうが取ったんだよ。ほんとに憎らしい猫だっちゃありゃあしない。今に帰って来たら、どうするか見ていやがれ」と怒鳴どなる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
役所の帰りにしゃけ二切ふたきれ竹の皮に包んでげて来る気になる、それが普通だと、まあ、思って自ら慰めている。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
わしゃア無一国むいっこくな人間で、いやにおさむれえへ上手をつかったり、窮屈におっつわる事が出来ねえから、矢張やっぱり胡坐あぐらをかいて草臥くたびれゝば寝転び、腹がったら胡坐を掻いて、塩引のしゃけで茶漬を掻込かっこむのがうめえからね
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お前がしゃけのせんばいでお酒を飲みてえものだというから……