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ひきゃく
ふりがな文庫
“
飛脚
(
ひきゃく
)” の例文
茶の間では
銅壺
(
どうこ
)
が湯気を立てて鳴っていた。灸はまた
縁側
(
えんがわ
)
に立って暗い外を眺めていた。
飛脚
(
ひきゃく
)
の
提灯
(
ちょうちん
)
の火が街の方から帰って来た。
赤い着物
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「はははは、お前が松島に向かったと聞いてな、わしも急に思い立って出て来たのだ。足の早いのは貴様こそ、親は
飛脚
(
ひきゃく
)
ででもあったかな?」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「ああ、その事、その事。それはわたしの方からお前さんに尋ねたい。
飛脚
(
ひきゃく
)
を立てようかと思っていたところですよ」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
昔の
大名行列
(
だいみょうぎょうれつ
)
の
挾箱持
(
はさみばこも
)
ちは、馬とおなじ速力でついて行かねばならず、
飛脚
(
ひきゃく
)
という者などは、
状箱
(
じょうばこ
)
を肩にかけて、街道を走り通さねばならなかった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
『もしや貴方様は、
山浦
(
やまうら
)
内蔵助さまと仰っしゃいませんでしょうか。てまえは、松代の
飛脚
(
ひきゃく
)
でございますが』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
三人目には
飛脚
(
ひきゃく
)
を斬り四人目には老婆を斬り五人目には武士を斬った。しかも家中の武士であった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
冥途
(
めいど
)
の
飛脚
(
ひきゃく
)
」の中で、竹本の
浄瑠璃
(
じょうるり
)
に
謡
(
うた
)
う、あの
傾城
(
けいせい
)
に真実なしと世の人の申せどもそれは皆
僻言
(
ひがごと
)
、わけ知らずの言葉ぞや、……とかく恋路には
虚
(
いつわり
)
もなし、誠もなし
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
おれ達をかまってくれるはずがねえ——前かた
懇意
(
こんい
)
にしてくれた、江戸のごろつき仲間にも、
飛脚
(
ひきゃく
)
を立てたり、手紙をやったりして見たのだが、ろくに返事も来なかった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
一体御前方はただ
歩行
(
ある
)
くばかりで
飛脚
(
ひきゃく
)
同然だからいけない。——叡山には
東塔
(
とうとう
)
、
西塔
(
さいとう
)
、
横川
(
よかわ
)
とあって、その三ヵ所を毎日往来してそれを修業にしている人もあるくらい広い所だ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
江戸にいて
奥州
(
おうしゅう
)
の物を用いんとするに、
飛脚
(
ひきゃく
)
を立てて報知して、先方より
船便
(
ふなびん
)
に運送すれば、到着は必ず数月の後なれども、ただその物をさえ得れば、もって便利なりとして
悦
(
よろこ
)
びしことなれども
教育の目的
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
駕籠
(
かご
)
が電車や自動車になり、
行燈
(
あんどん
)
がガス燈や電燈になり、
飛脚
(
ひきゃく
)
が郵便となり、そのうえ電信や電話などの重宝なものができた。今では無線電信や無線電話もでき、写真を電信で伝えることさえできる。
民族の発展と理科
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
草枯れて狐の
飛脚
(
ひきゃく
)
通りけり
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
彼の軍勢は、城下に
留
(
とど
)
めてある。意気揚々、秀吉は宿営に帰り、すぐ竹中半兵衛に、君命をつたえ、半兵衛は直ちに、長浜の留守へ向けて、
飛脚
(
ひきゃく
)
をとばした。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中一日を旅で暮らし、その翌日諏訪へ着いたが
既
(
すで
)
に
飛脚
(
ひきゃく
)
はやってある。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もう、よくせき急ぎな早打ちの
飛脚
(
ひきゃく
)
か、迷子の
鴉
(
からす
)
でもない限りには、この小仏を越えるものはなく、宇宙も大地もヒッソリとしたうちに静かな夜霧の幕が全山をつつんで来る。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「江戸からのお
飛脚
(
ひきゃく
)
でございます」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「では、
飛脚
(
ひきゃく
)
役か」
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“飛脚”の解説
飛脚(ひきゃく)は、信書や金銭、為替、貨物などを輸送する職業またはその職に従事する人のことである。佐川急便の商標でもある。単純な使い走りとは違い、事業が組織化されているのが特徴である。
(出典:Wikipedia)
飛
常用漢字
小4
部首:⾶
9画
脚
常用漢字
中学
部首:⾁
11画
“飛脚”で始まる語句
飛脚屋
飛脚体
飛脚文
飛脚船
飛脚馬
飛脚便
飛脚包
飛脚旅行