たのん)” の例文
もしも小山さんが自分の責任をのがれるような工風くふうをするとかあるいは和女おまえたのんで家へ金を借りに来るような意気地いくじのない人であったら
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
その時はこねくられたとも何とも、進退きわまり大騒ぎになって、れから玉造たまつくりの与力に少し由縁ゆかりを得て、ソレに泣付なきつい内済ないさいたのんで、ヤット無事に収まった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
富太郎金三郎深田の葦刈よしかり。女中三人は午前つけ。午後裏畑うらはた草取くさとり。伝太郎をたのんで十一俵買。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
楼婢ろうひを介して車をたのんだが、深更しんこう仮托かまけて応じてくれ無い、止むを得ず雨をついて、寂莫じゃくばくたる長堤をようやく城内までこぎつけ、藤堂采女とうどううねめ玉置小平太たまおきこへいたなど云う、藩政時分の家老屋敷の並んでいる
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
後見人が如何にいやだと言っても父が死ぬる時分に遺言してたのんで行ったもの、義理にも退しりぞけよう道がない。兄弟姉妹にもよくあることで、昔から「兄弟は他人の本」と言っているのは其処そこだ。
イエスキリストの友誼 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
れから私は桂川にたのんで、如何どうかして木村さんの御供おともをして亜米利加に行きたいが紹介して下さることは出来まいかと懇願して、桂川の手紙をもらって木村の家に行てその願意を述べた所が
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)