頸許えりもと)” の例文
と云って、欣七郎はお桂ちゃんの雪の頸許えりもとに、くすぐったそうな目をった。が、夫人は振向きもしなかった。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小春時こはるどき一枚小袖いちまいこそであゐこん小辨慶こべんけい黒繻子くろじゆすおびに、また扱帶しごき……まげ水色みづいろしぼりの手絡てがらつやしづくのしたゝるびんに、ほんのりとしたみゝのあたり、頸許えりもとうつくしさ。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
頸許えりもとがふと気になると、尾をいて、ばらばらと玉が走る。窓の硝子をすかして、しずくのその、ひやりと冷たく身に染むのを知っても、雨とは思わぬほど、実際うわの空でいたのであった。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
耳許みみもとも清らかに、玉を伸べた頸許えりもとの綺麗さ。うらすくくれないの且つなまめかしさ。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三人とも振返ると、町並樹の影に、その頸許えりもとが白く、肩がやつれていた。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つて莞爾につこりした。千助せんすけ頸許えりもとからぞく/\しながら
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
背筋のなびく、頸許えりもとのほの白さは、月に預けて際立たぬ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つて莞爾につこりした。元二げんじ頸許えりもとからぞく/\
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)