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頬摺
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ほおず
ふりがな文庫
“
頬摺
(
ほおず
)” の例文
憎むが如く、笑うが如く、また泣くが如く——そこに屈んでいた人間は、女の
生首
(
くび
)
を、手から、転がして、また
頬摺
(
ほおず
)
りをした。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自然と稽古にも興が乗って、千代子は抱かれて
頬摺
(
ほおず
)
りなどする
仕草
(
しぐさ
)
にも、我知らず狂言ならぬ真剣味を見せはじめた。
心づくし
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
此奴
(
こいつ
)
ら、大地震の時は弱ったぞ——
啄
(
ついば
)
んで、
嘴
(
はし
)
で、仔の口へ、
押込
(
おしこ
)
み
揉込
(
もみこ
)
むようにするのが、
凡
(
およ
)
そ
堪
(
たま
)
らないと言った形で、
頬摺
(
ほおず
)
りをするように見える。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
残った二人は白旗直八と幇間の左孝、二人とも、鬼になりたくてなりたくて仕様のないという人間——雛妓を追い廻して
頬摺
(
ほおず
)
りするのを鬼の役得と心得ている人間でした。
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
中には子供たちの頭を撫でて抱き上げて、
頬摺
(
ほおず
)
りしている者もあり、言葉は通ぜぬながらも、兵員たちと群集との間には、早くも和気の
靄々
(
あいあい
)
たるものを生じて女たちの二
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
といって茂太郎は、
頬摺
(
ほおず
)
りをするほどさしつけたお銀様の
面
(
かお
)
を見つめると
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
静枝は恵子の肩を軽く
掴
(
つか
)
んで
頬摺
(
ほおず
)
りをするようにしながら言った。
接吻を盗む女の話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「清葉が、
頬摺
(
ほおず
)
りしたり、額を吸ったり、……抱いて寝るそうだ。お前、女房は美しかったか、綺麗な児だって。ああ、
幸福
(
しあわせ
)
な児だ。
可羨
(
うらやま
)
しいほど
幸福
(
こうふく
)
だ。」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二重廻
(
にじゅうまわし
)
の間から毛むくじゃらの太い腕を出してお千代を引寄せて
頬摺
(
ほおず
)
りをした。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
世にも美しく不幸なる二基の
亡骸
(
なきがら
)
だけは、何とかして男爵夫人を探し出して一日も早く、その涙と
頬摺
(
ほおず
)
りの手に掻き抱かせてやりたいと
冀
(
こいねが
)
うもの、あながち私一人とは限らなかったであろう。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「大真面目だよ、抱きついても構わねえ、首の後ろに真っ赤な
痣
(
あざ
)
は無いか、それを見極めるんだ。
頬摺
(
ほおず
)
り位はしたっていいとも、万々一だよ、髯を剃った跡があったら、其処で
縛
(
しば
)
って構わねえ」
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
頬へ押当てて
頬摺
(
ほおず
)
りをしながら、逃げるように出て行ってしまいました。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
百合 (
熟
(
じっ
)
としばし)まさかと思うけれど、ねえ、坊や、大丈夫お帰んなさるわねえ。おおおお目ン目を
瞑
(
ねむ
)
って、
頷
(
うなず
)
いて、まあ、可愛い。(と
頬摺
(
ほおず
)
りし)坊やは、お
乳
(
つぱ
)
をおあがりよ。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と乙女椿に
頬摺
(
ほおず
)
りして、鼻紙に据えて立つ……
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頬
部首:⾴
15画
摺
漢検準1級
部首:⼿
14画
“頬”で始まる語句
頬
頬杖
頬冠
頬張
頬被
頬辺
頬骨
頬白
頬髯
頬桁