難風なんぷう)” の例文
此の身さえ儘ならぬ無人島のあるじ、思えば我が身ほど不運な者はない、いや/\愚痴をこぼすところでない、海上にて難風なんぷうに出会い、さいわいに船はくつがえりもせず
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
手當てあてとして江戸表へ名乘なのり出んとせし船中にて難風なんぷうに出合船頭せんどう水主かこ皆々みな/\海底かいてい木屑もくづとなりしが果報くわはうめでたき吉兵衞一人ひとりからふじてたすかり藤が原なる拙者のかくれ家へ來り右の次第を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おらア新潟通いの船頭だが、昨日きのう難風なんぷうで、さしもの大船たいせんも南のほうへ吹付けられ、ようよ此処こゝまで帰る途中、こわれた小舟に二人の死骸、やれ不憫なことをした、定めし昨日の風で難船したのだろうと
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
見定みさだめ出帆しゆつぱん然るべしといふ吉兵衞はじめ皆々今日のごとき晴天せいてんによも雨下あまおろしなどのなんは有べからずと思へば杢右衞門又々水差みづさしに向ひ成程足下そくかの云るゝ處も一理なきにも有ねどあまよき天氣てんきなればよも難風なんぷうなど有まじく思ふなりおし出帆しゆつぱんすべく存ずると云に水差みづさしも然ばとて承知し兵庫のおき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)