まま)” の例文
朝鮮にある沖縄人から前日報ぜられたは、以前ハブ蛇多き山を焼くとかように自身を咬んだまま死んだハブばかりまま見当った由。
まま亦吟諷して長謡、短草、楚詞、唐律を為り、風月煙雨の態度に酬答す。蓋し独り身目を娯み、暇日を遣るのみにあらず。
小国寡民 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
孤児みなしごの父は隆三の恩人にて、彼はいささかその旧徳に報ゆるが為に、ただにその病めりし時に扶助せしのみならず、常に心着こころづけては貫一の月謝をさへまま支弁したり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
淡紅濃白、歩ムニ随テ人ニブ。遠キハ招クガ如ク近キハ語ラントス。まま少シク曲折アリ。第一曲ヨリ東北ニ行クコト三、四曲ニシテ、以テ木母寺ニ至ツテきわまル。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
大作に余儀なくされて、大作を成した男ではないのですよ、『画史』にありますね、『山水人物花鳥皆細画ヲス、まま大画有リ』というのですから、むしろ細画に堪能たんのう
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その文の事を伝えてまったからず、またまま実にもとるものさえあるのは、この筆削のためである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
潜渓が方生の天台にかえるを送るの詩の序に記して曰く、晩に天台の方生希直きちょくを得たり、其の人となりや凝重ぎょうちょうにして物にうつらず、穎鋭えいえいにして以てこれを理にしょくす、ままはっして文を
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)