あか)” の例文
はらすべしと其夜近所きんじよ合壁がつぺき寢靜ねしづまりたる頃藤重が家にしのび行て見るに是は如何に何程なにほどひらかんとしてもくぎにてそとよりつけて有ば少しもあかず内の樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すると皆が馳け付けたが、奥さんが錠を下しっぱなしにして買物に行ってしまったから、あかる訳がない。乃公は尚お大きな声を出して、「火事だ火事だあ、助けてくれい」と呶鳴った。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
博士は顔を挙げて、一方だけあかった窓の彼方かなた、真っ黒な夜の空を眺めやりました。其処そこには、二丁程距てて、この篤学とくがくの博士を捨てた、流行歌手若菜が、乱倫極まる生活を営んで居る筈だったのです。
音波の殺人 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
いそがせしが知者しるものたえてあらざりけり夜明し後に長家の者は一同起出おきいで夫々のげふつけども家主の庄兵衞方は戸も明ず夫のみならず長家中では早起はやおきなりと評判する武左衞門の家も戸があかねば不思議に思ひて起して見んとお金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)