キイ)” の例文
「そこが一つの解決のキイです。アルゼンチンに成長異常例があるだろうということは、私の推理から遂に云い当てたことです」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ドカリと椅子に腰をおろした深沢深は、首をと振りたてがみのような長髪をかき上げて、いきなり象牙のキイに指をおろしました。
注意と不愉快とにたまらなくなり、ほおや鼻に大粒の涙を流しながら、彼は白や黒のキイの上に小さな赤い手を動かした。
そして、そのはずみに、キイと紐を裏側から蹴ったので、鎧通しが結び目から飛び出して床の上に落ちたのだよ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
子供達は、不思議な風琴のキイをいじくっていた。ヴウ! ヴウ! この様に、時々風琴は、突拍子とっぴょうしな音を立てて肩をゆする。すると、子供達はまめのようにはじけて笑った。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
ピアノに背を向けて、急に後ろへ廻した手を、キイの上へポンとのせた。
落葉日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
侍史は、未来のキイがどこにあるのかを見抜いていたのである。
手はキイをたたいてゐるとき
親指をちょこちょこやりながらキイの上をできるだけ早く飛び回ることや、二本の隣りの指の間にぎごちなくこびりついてる薬指をしなやかにすることだった。
だから犯人は、あらかじめそのキイの使用数と最初結び付ける高さを測定しておいてから、その鍵と鐘を打つ打棒とを繋いでいる紐の上方に、鎧通しの束を結び付けておいたのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
子供達は、またはえのように風琴のそばに群れて白いキイを押した。私は材木の上を縄渡なわわたりのようにタッタッと走ると、どこかの町で見た曲芸の娘のような手振りでこしんだ。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
つまりその暗号法ではキイとなる別の六桁の数字があって、それを加えあわせてある。たとえばその鍵の数字が 330022 だったとすると、暗号文のどの数字にもこれが加えてある。
暗号数字 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これは重要なキイの一つとして、或程度まで信じてもよろしいことと思います。
古城の真昼 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
彼はわざと、違ったキイをたたいて調子をはずそうとした。メルキオルは叫びたて、次にはわめきたてた。やたらに殴りつけ始めた。彼は頑丈がんじょうな定規をもっていた。
その円が激しく動くにつれ、しだいと楕円に化してゆく、ちょうどそれと同じ現象が、上下二段の鍵盤キイに現われたのだ。ところでここに、頻繁ひんぱんに使う下段のキイがあったとしよう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
第一その謎を解くキイが、至極フェアとまではゆかない。無理な着想をいる。
軍用鼠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし、平次の叡智えいちは次第にバラバラの文字からキイを見出しました。
二人は心を躍らせた。見ると、彼はなお話しつづけながら、機械的にピアノの腰掛にすわり、それから、その楽器へは眼もやらずに、ふとキイの上に手を動かした。
「全く涙のこぼれるほど嬉しいことです。私たちは、その暗号のキイが、やはり無電にのってくるのかと思ったのですが、そうではない。秘密結社の本部では飽くまでも用意周到を極めています」
暗号数字 (新字新仮名) / 海野十三(著)
併し、平次の叡智えいちは次第にバラバラの文字からキイを見出しました。
そして彼はキイにさわった——ピアノの中間部の、幾つかの音を、半オクターヴばかりかなりあざやかに。
早く大阪へついてこのキイを解いてしまいたくて、たまらない。
暗号数字 (新字新仮名) / 海野十三(著)