金高かねだか)” の例文
しかも、だんだん金高かねだか騰上あがってゆくのにしたがって、人気が上っていって、一流のお茶やさんから引っぱりだこにされていた。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それにしても、余りの金高かねだかである。いくら可愛い子供の為とはいえ、易々やすやすと渡すのは、少し変だ。相手の男が果して信用して受取るであろうか。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
よいか。そしてその真中へ鎧、刀これも三十人分、甲は無論小手こて脛当すねあてまで添えて並べ立てた。金高かねだかにしたらマルテロの御馳走よりも、かさが張ろう。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
利江子夫人は、侮辱を感じて離婚の訴訟を起こし、たいへんな金高かねだかの慰謝料を請求しましたが久世氏は、夫人のいままでの不始末をたてにとって、手ひどくそれをはねつけました。
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
……あの坊さんは、高野山とかの、金高かねだかなお宝ものを売りに出て来ているんでしょう。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
金高かねだかは小さくても、確実に手に入れる事が出来たら、その方が好いでせう。無論こんな事をわたしが言ふのは、唯個人の物好で言ふに過ぎないのですから、誤解しては行けませんよ。
「どうだ、このまっ白で大きいこと、この鳥のつばさぐらいになると、ずいぶんの金高かねだかだ、これは、わたしがもらっておこう。みたまえ、剱をもらって来て、いいことをしたろうがね。」
そして新七の手から太郎兵衛に渡った金高かねだかまでを探り出してしまった。
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
金高かねだかものでもあり、口が遠くて長くなる間に、どんな事が起らぬとも限らぬと思ったので、そこでなかなかウッカリしておらぬ男なので、その幅の知れないところへあらかじめ自分の花押かおうを記して置いて
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
宗助そうすけちゝにもよくがあつたかもれないが、このでん叔父をぢ事業じげふんだ金高かねだかけつしてすくないものではなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
金高かねだかを聞くと五百円と少しばかりである。代助はなんだその位と腹の中で考えたが、実際自分は一文もない。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小遣をる時の健三がこの前と同じ挨拶あいさつを用いたように、それをもらう御常の辞令も最初と全く違わなかった。その上偶然にも五円という金高かねだかさえ一致していた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ちょうさんの話では御前さんが月々いくらいくらわたしるという事だが、実際御前さんの、呉れるといった金高かねだかはどの位なのか、長さんに内所ないしょでちょっと知らせてくれないかと書いてあった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
金高かねだかを聞くと五百円と少し許である。代助はなんだ其位と腹のなかで考へたが、実際自分は一文もない。代助は、自分がかねに不自由しない様でゐて、其実大いに不自由してゐる男だと気が付いた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)