すすん)” の例文
それからその荷物を運んでろうと云うので、夜具包やぐづつみか何の包か、風呂敷包をかついだり箪笥たんすを担いだり中々働いて、段々すすんで行くと
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
敵情を探るのは探偵のかかりで、たたかいにあたるものは戦闘員に限る、いうてみれば、敵愾心てきがいしんを起すのは常業のない閑人ひまじんで、すすんで国家に尽すのは好事家ものずきがすることだ。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
成丈なるたけ犬の己れに近づくを待って突然反撃、杖で撃つか下駄でるのです、たとい殺さぬまででも吠られた腹いせがすぐ出来てすこぶる愉快なものであります、それが今一歩すすんできては
竹乃里人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
空腹でも食事中でも、寒くっても熱くっても主人のめいならすすんでこれを弁ぜねばならない。これらも可愛そうに人並で充分眠ってうまいものをべてみたいに違いない。しかしそんな自由は出来ない。
イエスキリストの友誼 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
遂にはすすんで自己を罪人となし神を赦し得るに至るのである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
その時私は脇差わきざしを一本して居たから、追付おいつかるようになれば後向うしろむいすすんるよりほか仕方しかたがない。きっては誠に不味まずい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
敵情を探るのは探偵の係で、たたかいにあたるものは戦闘員に限る、いふて見れば、敵愾心てきがいしんを起すのは常業のない閑人ひまじんで、すすんで国家に尽すのは好事家ものずきがすることだ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それは大層な波で、船体が三十七、八度傾くと云うことは毎度の事であった。四十五度傾くと沈むと云うけれども、さいわいに大きなわざわいもなくただその航路をすすんく。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)