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そうべつ
奈美子は
白い
布で
頭をくる/\
捲いて、
寂しい
彼の
送別の
席につれ
出されて、
別室に
待たされてゐたことなぞも、
仲間の
話柄に
残された。
いろ/\の
厚き
待遇を
受けた
後、
夜の八
時頃になると、
當家の
番頭手代をはじめ
下婢下僕に
至るまで、
一同が
集つて
送別の
催をする
相で、
私も
招かれて
其席へ
連なつた。
見ると、こは
先刻送別の
席で、
只一人で
泣いて
居つた
亞尼と
呼べる
老女であつた。