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軒塲
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のきば
蚊いぶし
火鉢に
火を
取分けて三
尺の
椽に
持出し、
拾ひ
集めの
杉の
葉を
冠せてふう/\と
吹立れば、ふす/\と
烟たちのぼりて
軒塲にのがれる
蚊の
聲凄まじゝ
そのうちに一
羽空から
舞ひ
降りたかと
思ふと、
何十
羽といふ
燕が一
時に
村へ
降りて
來ます。そして
互に
嬉しさうな
聲で
鳴き
合つて、
舊い
馴染の
軒塲を
尋ね
顏に、
思ひ/\に
分れて
飛んで
行きます。