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やち
ふりがな文庫
“
谷地
(
やち
)” の例文
「
谷地
(
やち
)
の境について、紛らわしいことを云って来るんです。寺池領の者が、地境を無視して涌谷領へ
鍬
(
くわ
)
をいれる、というんですが」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
谷地
(
やち
)
で(湿地で葦のような草の根のかたまりだけがとびとびにかたまって谷地坊主と云われて居、そこをつたわって歩く)
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
一人は丁度、五百歩ばかり離れたぐちゃぐちゃの
谷地
(
やち
)
の中に住んでゐる土神で一人はいつも野原の南の方からやって来る茶いろの
狐
(
きつね
)
だったのです。
土神と狐
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
関東で
谷地
(
やち
)
という多くの村里は多分阿原と同類の地名である。東京の近くでは北豊島郡
石神井
(
しゃくじい
)
村大字
谷原
(
やはら
)
、新高野山があるために人がよく知っている。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
樽屋
(
たるや
)
の文六ちゃんの家は、みんなの家とは少しはなれたところにありました。ひろい、
蜜柑畑
(
みかんばたけ
)
になっている屋敷にかこわれて、一軒きり、
谷地
(
やち
)
にぽつんと立っていました。
狐
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
▼ もっと見る
そのことを「編みかけの
手提籠
(
こだし
)
(ečákor-saranip, ečáne-saranip)をかぶったような」と形容したり、「頭にもつものは
谷地
(
やち
)
坊主そっくり」
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
谷地
(
やち
)
にさき、時として足のふみ場もないほどの群落をなして、みごとなこともある。
山の春
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
と
谷地
(
やち
)
を渡って向うへ
行
(
ゆ
)
きますると、草の上へ
仰向反
(
のけぞり
)
になって居る巡礼が有るから
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
八甲田山の西から南にかけても
亦
(
また
)
これに似た所があるが、藪が深いので私は探る機会を得なかった、
谷地
(
やち
)
温泉や
蔦
(
つた
)
温泉附近は、惜しいかな標高が少し低い。この程度のものならば各地に多いのである。
高原
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
子を呼べばまばたきすもよこの夜さり
谷地
(
やち
)
の
灯
(
ひ
)
あしが
眶毛
(
まつげ
)
なし見ゆ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
けれども、式部がなぜそんな無法なことをするか、という蔭の理由のほうが、侵された僅かな
谷地
(
やち
)
よりも重大な筈である。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一人は丁度、五百歩ばかり
離
(
はな
)
れたぐちゃぐちゃの
谷地
(
やち
)
の中に住んでいる土神で一人はいつも野原の南の方からやって来る茶いろの
狐
(
きつね
)
だったのです。
土神ときつね
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それから川尻角浜ときて、馬の食べつくした広い芝原の中を、くねり流れる小さな
谷地
(
やち
)
川が、
九戸
(
くのへ
)
、
三戸
(
さんのへ
)
二郡の郡境であった。青森県の月夜では、私はまた別様の踊りに出遭った。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
何うした事か山之助が足掛りを踏外したから、ずずうと蔦が切れたと見えて、両手に
攫
(
つかま
)
ったなり谷底へ落ると、下には草が生えた
谷地
(
やち
)
に成って居り、前はどっどと渦を巻いて細谷川が流れます
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
子を呼べばまばたきすもよこの夜さり
谷地
(
やち
)
の
灯
(
ひ
)
あしが
眶毛
(
まつげ
)
なし見ゆ
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
人里近くの
谷地
(
やち
)
にポプラの木が生えているような感じである。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そしてたうとうこらへ切れなくなって、
吠
(
ほ
)
えるやうにうなって荒々しく自分の
谷地
(
やち
)
に帰って行ったのでした。
土神と狐
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
谷地
(
やち
)
の靄こむるかぎりは日の射して色おぎろなし若葉かも蒸す
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「くびじろは
谷地
(
やち
)
へはいったか」
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そしてとうとうこらえ切れなくなって、
吠
(
ほ
)
えるようにうなって
荒々
(
あらあら
)
しく自分の
谷地
(
やち
)
に帰って行ったのでした。
土神ときつね
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
吾が起きてただに
瞰下
(
みおろ
)
す
門
(
かど
)
の戸を濃霧しづもり
谷地
(
やち
)
はこもりぬ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
黒沢の
谷地
(
やち
)
まで御辛抱のほどを。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すると奇体なことは木樵はみちを歩いてゐると思ひながらだんだん
谷地
(
やち
)
の中に踏み込んで来るやうでした。それからびっくりしたやうに足が早くなり顔も青ざめて口をあいて息をしました。
土神と狐
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
吾が起きてただに
瞰下
(
みおろ
)
す
門
(
かど
)
の戸を濃霧しづもり
谷地
(
やち
)
はこもりぬ
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
常の夜も
谷地
(
やち
)
は暗きに
灯
(
ひ
)
を消して物のこごしくいよよけぶかさ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
常の夜も
谷地
(
やち
)
は暗きに
灯
(
ひ
)
を消して物のこごしくいよよけぶかさ
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
田鼠ら硝子戸のぼりあわただし
谷地
(
やち
)
の月夜も
凍
(
し
)
みて
明
(
あか
)
きか
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
藪雑木
(
やぶざふき
)
谷地
(
やち
)
の日かげのしづけきは一朝にしもみ冬寂びたる
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ちろめく
谷地
(
やち
)
の
燈火
(
ともしび
)
も
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“谷地(
谷戸
)”の解説
谷戸(やと)とは、丘陵地が浸食されて形成された谷状の地形である。また、そのような地形を利用した農業とそれに付随する生態系を指すこともある。谷(や、やと)・谷津(やつ)・谷地、萢(やち)・谷那(やな)などとも呼ばれ、主に東日本(関東地方・東北地方)の丘陵地で多く見られる。なお、同じ地形について、中国・九州などの西日本では迫・佐古(さこ)、岐阜県では洞(ほら)と呼ぶ。
(出典:Wikipedia)
谷
常用漢字
小2
部首:⾕
7画
地
常用漢字
小2
部首:⼟
6画
“谷地”で始まる語句
谷地田
谷地帯
谷地草
谷地頭町