ひょう)” の例文
故人をあやまり伝えてもなりませず、何かひょうをやるようにも当りますから、唯々ただただ、かのな、婦人との模様だけ、お物語りしましょうで。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
むずかしい病気びょうきをなおしたりおにをおいはらったり、ときには、死人しにんをよみがえらしたりするほど、ふしぎな力をそなえていられるというひょうばんでした。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
四分六といつか泰軒がひょうしたことばのとおりに剣胆けんたん二つながらに備えてはいても、何しろ左膳ほど刀下をくぐっていない栄三郎、ともすれば受け太刀になって
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
外国の力をりて政府を保存ほぞんせんとはかりたりとのひょうごときは、けっして甘受かんじゅせざるところならん。
ただ詩人と画客がかくなるものあって、くまでこの待対たいたい世界の精華をんで、徹骨徹髄てっこつてつずいの清きを知る。かすみさんし、露をみ、ひんし、こうひょうして、死に至って悔いぬ。彼らの楽は物にちゃくするのではない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)