トップ
>
褫
>
うば
ふりがな文庫
“
褫
(
うば
)” の例文
商売している以上、体はどうも仕方がない、
汚
(
よご
)
れた体にも純潔な精神的貞操が宿り、金の力でもそれを
褫
(
うば
)
うことはできないのだと。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
足本國の外を
踐
(
ふ
)
まざる
我徒
(
ともがら
)
に至りては、只だその
瑰偉
(
くわいゐ
)
珍奇なるがために魂を
褫
(
うば
)
はれぬれば、今
復
(
ま
)
たその
髣髴
(
はうふつ
)
をだに語ることを得ざるならん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
若し水路を行くことを辞するときは、職を
褫
(
うば
)
はれる
虞
(
おそれ
)
がある。先生は少くも水野が必ず職を褫ふだらうと
惟
(
おも
)
つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
或は傑士賢臣、
肯
(
うなず
)
いて
阿附
(
あふ
)
せざる
有
(
あ
)
れば、軽ければ
則
(
すなわ
)
ち之を
間散
(
かんさん
)
に置き、重ければ則ち
褫
(
うば
)
いてもって
氓
(
みん
)
を編す。
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
むかし、正しい武家の
女性
(
にょしょう
)
たちは、
拷問
(
ごうもん
)
の
笞
(
しもと
)
、火水の責にも、断じて口を開かない時、ただ、
衣
(
きぬ
)
を
褫
(
うば
)
う、肌着を
剥
(
は
)
ぐ、裸体にするというとともに、直ちに罪に落ちたというんだ。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
昇の
胆
(
たん
)
を
褫
(
うば
)
ッて、叔母の
睡
(
ねぶり
)
を覚まして、若し愛想を尽かしているならばお勢の信用をも買戻して、そして……そして……自分も実に胆気が有ると……確信して見たいが、どうしたもので有ろう。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
悍驁
(
かんがう
)
激烈
(
げきれつ
)
の人であつたが、いづれも惜福の工夫などには疎くて、みな多くは勝手元の不如意を來し、
度支
(
たくし
)
紊亂
(
ぶんらん
)
、自ら支ゆる能はざるに至つて、威衰へ家傾き、甚だしきは身を失ひ封を
褫
(
うば
)
はるゝに及び
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
嘉永五年
壬子
(
じんし
)
籍を削り、禄を
褫
(
うば
)
わる。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
お銀は胎児のために乳を
褫
(
うば
)
われようとして、日に日に気のいじけて来る子供のうるささを、少しずつ感じて来た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
さてこの奇談が阿部邸の
奥表
(
おくおもて
)
に
伝播
(
でんぱ
)
して見ると、
上役
(
うわやく
)
はこれを
棄
(
す
)
て置かれぬ事と認めた。そこでいよいよ君侯に
稟
(
もう
)
して禄を
褫
(
うば
)
うということになってしまった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
吉田の子
巳熊
(
みくま
)
は
仇討
(
あだうち
)
に出て、豊後国鶴崎で刺客の一人を討ち取つた。横井は呉服町での挙動が、いかにも
卑怯
(
ひけふ
)
であつたと云ふので、熊本に帰つてから禄を
褫
(
うば
)
はれた。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
この女が一緒になるはずであった田舎のある肥料問屋の
子息
(
むすこ
)
であった書生を、その叔父の妻君であった
年増
(
としま
)
の女が、
横間
(
よこあい
)
から
褫
(
うば
)
って行ったのだというようなことも、解って来た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お銀は机の
傍
(
そば
)
へ来て、お鈴に
褫
(
うば
)
われた男のことを、ぽつぽつ話し出した。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
褫
漢検1級
部首:⾐
15画
“褫”を含む語句
褫奪
紫衣褫奪