製造場せいぞうば)” の例文
今日きょうて過ぎた寺の門、昨日きのう休んだ路傍ろぼうの大樹もこの次再び来る時にはかならず貸家か製造場せいぞうばになっているに違いないと思えば
たちまち、に、工場こうばや、製造場せいぞうばのある、にぎやかなまちえ、またふねたり、はいったりするみなとがうかんできて、るもの、くもの、すべてこれまで、らなかったことばかりでした。
心は大空を泳ぐ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それ以来新しくこの都に建設せられた新しい文明は、汽車と電車と製造場せいぞうばを造った代り、建築と称する大なる国民的芸術を全く滅してしまった。
霊廟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
黒煙こくえんを吐く煉瓦づくりの製造場せいぞうばよりも人情本の文章の方が面白く美しく、すなわち遥に強い印象を与えたがためであろう。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何処どこからともなく煤烟ばいえんすすが飛んで来て、何処という事なしに製造場せいぞうばの機械の音が聞える。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
実にこれらの美術をば惜気おしげもなく破壊して兵営や兵器の製造場せいぞうばにしてしまったような英断壮挙の結果によって成ったものである事を、今更いまさらの如くつくづくと思知るのであった。
四谷と赤坂両区の高地に挟まれたこの谷底の貧民窟は、堀割と肥料船こえぶね製造場せいぞうばとを背景にする水場みずばの貧家に対照して、坂と崖と樹木とを背景にする山の手の貧家の景色を代表するものであろう。
川向かはむかうは日の光の強いため立続たちつゞ人家じんか瓦屋根かはらやねをはじめ一帯の眺望てうばうがいかにもきたならしく見え、風に追ひやられた雲の列がさかん煤煙ばいえん製造場せいぞうば烟筒けむだしよりもはるかに低く、動かずに層をなしてうかんでゐる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
川向かわむこうは日の光の強いために立続く人家の瓦屋根かわらやねをはじめ一帯の眺望がいかにも汚らしく見え、風に追いやられた雲の列がさかん煤煙ばいえん製造場せいぞうば烟筒けむだしよりもはるかに低く、動かずに層をなしてうかんでいる。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)