うら)” の例文
『そういうお前は、言葉のうらで、良人のおれが、こうして無策むさくな顔しているのを冷笑わらっているのであろうが』
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
始めは戯れならむと思ひしが、その容貌ようばうの青ざめたるさへあるに、夜の事とて共に帰らぬ弟の身の不思議さに、何処にてと問ひければ、東禅寺うらにて、と答ふ。
鬼心非鬼心:(実聞) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
羽織も着物も全体が無地の蝦色えびいろで、草履の鼻緒や、羽織のひもにまで蝦色を使い、その他はすべて、半襟はんえりでも、帯でも、帯留でも、襦袢じゅばんうらでも、袖口そでぐちでも、ふきでも、一様に淡い水色を配しました。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
さうして少年せうねんのやぶれたこヽろはつくのはれたけれど、舞台ぶたいのうへで姫君ひめぎみのきられたといふことはわすれられない記臆きおくであつた。また赤毛布あかけつとうらをば、んだ姫君ひめぎみあるいたのも、不可思儀ふかしぎ発見はつけんであつた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
其時青年のあたまうらには遠い故郷ふるさとにある母の影がひらめいた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その夜は、早めに、彼は紙帳しちょううらへはいった。そして枕につきかけると
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と口のうらでつぶやいた。もう、処女おとめらしい涙をいっぱいにたたえて。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして心のうら
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)