つく)” の例文
旧字:
若くつくって、そして若い気持ちでいても、こころの底で彼女は、正直のところ、「棚に載っかって埃りをかぶろうとしている老嬢」
消えた花婿 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
黒紋つきにあられ小紋のかみしも、つづく安積玄心斎、脇本門之丞わきもともんのじょう谷大八たにだいはち等……みんな同じつくりで、正式の婿入り行列、にわかのお立ちです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
さりとは外見みえを捨てゝ堅義を自慢にした身のつくり方、柄の選択えらみこそ野暮ならね高が二子ふたこの綿入れに繻子襟かけたを着て何所に紅くさいところもなく
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
殿にも、きょうのお支度は、まずちとばかり家来も持つ、郷士の伜殿せがれどのと見たらよいようなおつくりなのだ。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
若くつくつて、十九か二十位にしか見せやせんがなあ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
さりとは外見みえを捨てて堅義を自慢にした身のつくり方、柄の選択えらみこそ野暮ならね高が二子の綿入れに繻子襟しゅすえりかけたを着てどこにべにくさいところもなく
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
内儀ふうにつくった知らずの姐御にくっついて、勘太も茶店へはいって来る。手に何か持っている。萠黄のふろしきに包んだ、箱のようなものである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
『そう俳諧師らしい姿よりは、京あたりの織物問屋とでもつくったほうが、先が心をゆるしはせぬか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのそばに、腰元のようにつくった派手な振袖の千浪が、高く結い上げた髪も重たげに、立っているのである。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
このとおり泥を吐くから見ていな——すっかり衣裳をあらためて、初太郎宇之吉が姉の屍骸を見つけた頃合いを見計らい、眠呆ねぼけづらをつくって二階へ上って行ったのよ。
山路主計やまじかずえ中之郷東馬なかのごうとうま、川島与七郎などという連中——身を持ち崩した田舎侍のようなつくりだが、皆これ出羽守お気に入りの家臣なので、こうして主君出羽の御微行おしのびの供をして
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いつものように、宵闇にまぎれて、折助おりすけすがたにつくった辰馬が、ぼんやりっていた。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
が、それも今では、同じつくりの多人数に呑まれて、二人は離れ離れになっている。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
祖父江出羽守は、悪戯らしい微笑を頭巾に包んで、声をつくって言った。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
(泣き声をつくる)