はか)” の例文
畳の上ではそれほどでもないが、廊下のような板敷きへかかると船の傾きを踏み試めすような蛙股の癖が出て、踏み締め、踏み締め、身体の平定をはかって行くからである。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
先ず荷物を預けんとて二人のを一緒にはからす。運賃弐円とは馬鹿々々しけれど致し方もなし。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
下手しもてには鰯粕いわしかすの目方をはかる大秤、壁に切り目を入れた即製の身長測定器、胸囲、身長、体重の平均を年齢別に表した大図表、何やら光るニッケル製の医療器械まで出しそろえ
てうるや、(三九)きみこれおよべばすなは(四〇)げんたかくし、これおよばざればすなは(四一)おこなひたかくす。くにみちればすなは(四二)めいしたがひ、みちければすなは(四三)めいはかる。
ふつうの衡器こうきは、棒の根もとに近いところははかりのがあり、それを下げていて他の一方のはしのほうへ、分銅ふんどうを送って行くしかけであったが、薬や金銀のような少しの物をはかる天秤というものだけは
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
次にゼンマイばかりで物の目方をはかる場合を考えてみよう。不断に変化する宇宙全体が秤皿に影響してその総効果が収斂しなかったら一物の目方という定まった観念を得る事は出来まい。
方則について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
重量約一匁とか長さ約一寸といえば通例はかり方はかり方の粗雑な事を意味する。丁度一匁とかキッチリ一寸など云えば大変に正確に聞えるが、精密とか粗雑とかいうのも結局は相対的の言葉である。
方則について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)