街々まちまち)” の例文
「さようでございます。おじいさんにつれられて街々まちまちあるいて、うたをうたったからすはこれでございます。」と、宿屋やどや主人しゅじんこたえました。
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)
空には大きな都会のさまざまな街々まちまちの姿や賑やかさ、または音楽や燈影が、まるで地図のように広げられてくるのでした。
寂しき魚 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
高みから見る横浜関内かんないの、街々まちまちの灯ははなのようにちらめいて、海の方にも碇泊船ていはくせん燈影ほかげが星のようにあった。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その街々まちまちの入口に立ててある巨大な防塞ぼうさいも、どんな危険があっても冒険を止められぬような奴でもまずほとんど確実に参らせてしまうあの厭わしい死の予想でさえも
そこでどんなに窮した場合にも残しておいた、舞台で着る衣服甲冑かっちゅうに身を装い、おりから降りしきる雪の辻々、街々まちまちを練り歩いて、俳優たちが自ら広告した。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ながあいだ江戸時代えどじだい泰平たいへいゆめやぶれるときがきました。江戸えど街々まちまち戦乱せんらんちまたとなりましたときに、この一人々ひとびとも、ずっととおい、田舎いなかほうのがれてきました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、電気でんきが、にぎやかな街々まちまちにつくのも、てんでのうちにきたのも、そこには、たくさんなひとたちの労力ろうりょくとそれについやされた日数にっすうがあったことをかんがえなければなりません。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)