トップ
>
行路
>
こうろ
ふりがな文庫
“
行路
(
こうろ
)” の例文
もしその男が私の生活の
行路
(
こうろ
)
を横切らなかったならば、おそらくこういう長いものをあなたに書き残す必要も起らなかったでしょう。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ふしぎな
独楽
(
こま
)
の
乱舞
(
らんぶ
)
を、かれの
技力
(
ぎりょく
)
かと目をみはる
往来
(
おうらい
)
の人や
行路
(
こうろ
)
の
閑人
(
ひまじん
)
が、そこでバラバラと
銭
(
ぜに
)
や
拍手
(
はくしゅ
)
を投げる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
薄暮
(
はくぼ
)
は迫り、春の日は花に暮れようとするけれども、
行路
(
こうろ
)
の人は三々五々、各自に何かのロマンチックな悩みを抱いて、家路に帰ろうともしないのである。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
不思議なるは人生の
行路
(
こうろ
)
、誰か自分の運命を知るものがあろう。……ふりさけ見れば千万里、海や、雲を隔てて異郷の土に
冷
(
ひやや
)
かに眠るさすらい人の身を哀れむのである。
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あれは浅草で行き倒れの
行路
(
こうろ
)
病者をひろってきたんです。僕はずいぶん世話をやいて、医者にもかけてやりましたよ。もちろん、もう二三日の寿命しかないとは思っていたんですがね。
私はかうして死んだ!
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
▼ もっと見る
謹
(
つつし
)
んで
筆鋒
(
ひっぽう
)
を
寛
(
かん
)
にして
苛酷
(
かこく
)
の文字を用いず、
以
(
もっ
)
てその人の名誉を保護するのみか、実際においてもその
智謀
(
ちぼう
)
忠勇
(
ちゅうゆう
)
の
功名
(
こうみょう
)
をば
飽
(
あ
)
くまでも
認
(
みとむ
)
る者なれども、
凡
(
およ
)
そ人生の
行路
(
こうろ
)
に
富貴
(
ふうき
)
を取れば功名を失い
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
一視同仁だが、唯一番小さいのに一番余計に
惹
(
ひ
)
かされるのである。斯ういう傾向は何処の家庭にも認められる。謂わば人生の
行路
(
こうろ
)
の終点に達した年寄はその出発点に近い孫ほどいとしいのである。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
行路
(
こうろ
)
の難は、そればかりでなかった。
大物
(
だいもつ
)
の浦から船に乗りこんだ夜、
暴風
(
あらし
)
に襲われて、船は難破してしまった。
日本名婦伝:静御前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秋風
落寞
(
らくばく
)
、門を出れば我れもまた落葉の如く、風に吹かれる人生の漂泊者に過ぎない。たまたま
行路
(
こうろ
)
に逢う知人の顔にも、生活の寂しさが暗く漂っているのである。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
彼
(
かれ
)
は平岡の
安否
(
あんぴ
)
を
気
(
き
)
にかけてゐた。まだ
坐食
(
ゐぐひ
)
の不安な境遇に
居
(
お
)
るに
違
(
ちがひ
)
ないとは思ふけれども、或は
何
(
ど
)
の方面かへ、生活の
行路
(
こうろ
)
を切り開く手掛りが
出来
(
でき
)
たかも知れないとも想像して見た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
弦之丞には、
行路
(
こうろ
)
の一
顧
(
こ
)
にもすぎぬ女であったろうが、お綱の身にとってみれば、手のうちの珠を奪われたよりは、もっと絶望的な空虚が胸をひたすのであった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“行路”の意味
《名詞》
道路を行くこと。旅行。
道路。通路。
渡世。世渡り。
(出典:Wiktionary)
行
常用漢字
小2
部首:⾏
6画
路
常用漢字
小3
部首:⾜
13画
“行路”で始まる語句
行路病者
行路難
行路人
行路者
行路雨