蛋白質たんぱくしつ)” の例文
松茸も人を酔わせるもの、お酒も人を酔わせるもの、お豆腐の蛋白質たんぱくしつはその酔わせる刺撃成分を吸収しますから酔いが遅いでしょう。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
蛋白質たんぱくしつはどう、と呟きながら栄養価と熱量を計算して、もっぱら栄養のバランスがとれ、カロリーのある食事をつくるのである。
軍国歌謡集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
するとそこらの物陰にいろいろの蛋白質たんぱくしつが腐敗していろいろの黴菌ばいきんを繁殖させその黴菌は回り回ってやはりどこかで人間にあだをするかもしれない。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その際あんまりびっくりなさいませんように。次にその残りの各々から蛋白質たんぱくしつ脂肪しぼう含水炭素がんすいたんその可消化量を計算してそれからおのおのの発する熱量を計算して合計します。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
その一番良い例は生命現象であろう。人体を構成している細胞の蛋白質たんぱくしつの秘密が、窮極のところまで分っても、生命そのものは、現在の科学の方法をもってしては、永久に分らない。
魚がたべたくて仕様がないときには魚肉が持っている蛋白質たんぱくしつやビタミンのAやDが身体に必要な状態にあるわけだし、昆布こんぶがたべたくて仕様がないときには、身体に沃度分ヨードぶんが必要な場合なのであろう。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ちょうど真綿まわたをちぎっていたように壜の中へ沢山見えます。これが蛋白質たんぱくしつ凝結かたまりで上等の醤油ほど多く出来るのです。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
以外の物質は、みなすべて、よくこれを摂取せっしゅして、脂肪しぼうもしくは蛋白質たんぱくしつとなし、その体内に蓄積ちくせきす。
フランドン農学校の豚 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
しかしはえを取りつくすことはほとんど不可能ふかのうに近いばかりでなく、これを絶滅ぜつめつすると同時に、うじもこの世界から姿すがたを消す、するとそこらの物陰ものかげにいろいろの蛋白質たんぱくしつ腐敗ふはいして
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
生物は細胞からなり、細胞は蛋白質たんぱくしつから成る。蛋白質以外の外のものももちろんあるが、いずれにしてもそれらは全部分子から成り、分子は原子から、またその原子は核と電子とから出来ている。
簪を挿した蛇 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
かまから移す時よく松茸を混ぜて出します。この御飯へは必ずお豆腐の汁物を添えなければなりません。お豆腐の蛋白質たんぱくしつが松茸の毒性を吸収して毒消しになります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
然しながらもし蛋白質たんぱくしつ脂肪しぼうとについて考えるならば何といっても植物性のものは消化が悪い。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
のみならず、焼かれた皮膚の局部では蛋白質たんぱくしつが分解して血液の水素イオン濃度が変わったり、周囲に対する電位が変わったり、ともかくもその付近の細胞にとっては重大な事件が起こる。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
食物の成分として十九貫目の人は一日に蛋白質たんぱくしつ百十八ぐらむ即ちおよそ三十もんめ、脂肪が五十六瓦即ち十四匁、含水炭素が五百瓦即ち百二十匁にその余は水分とこうめてある。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そこで、澱粉でんぷん脂肪しぼう蛋白質たんぱくしつと、この成分の大事なことはよくおわかりになったでしょう。
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
しかし『道徳教』でも『論語』でもコーランでも結局はわれわれの智恵を養う蛋白質たんぱくしつや脂肪や澱粉でんぷんである。たまたま腐った蛋白を喰って中毒した人があったからと云って蛋白質を厳禁すれば衰弱する。
変った話 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
また蛋白質たんぱくしつ八・六〇とあるは八分六厘なり。以下なこの例によりて成分を知るべし。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
今の世はしきりに体育論と智育論とのあらそいがあるけれどもそれはほど加減かげんによるので、智育と体育と徳育の三つは蛋白質たんぱくしつ脂肪しぼう澱粉でんぷんのように程や加減を測って配合しなければならん。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
これに豆腐の汁物を添えると味もよく合いますし、豆腐の蛋白質たんぱくしつ茸類たけるいの毒性を吸収して毒消しになります。この御飯は上手に出来ると大層食慾を増しますから食べ過ぎてはいけません。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
多くの場合は味噌で煮ますが味噌の蛋白質たんぱくしつはちょうど豆腐の蛋白質が松茸の刺撃成分を吸収するように猪の肉の刺撃成分を吸収するかもしれません。大根と煮るのも何か功がありましょう。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)