蛇苺へびいちご)” の例文
とうさんが石垣いしがきそばとほたびに、蛇苺へびいちご左樣さうつてはとうさんをさそひました。蛇苺はびいちごどくだとひます。それをとうさんもいてつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
蛇苺へびいちご芍藥しやくやくゆきした、もつとおとなしい隱立かくしだてよりも、おまへたちのはうがわたしはすきだ。ほろんだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
蛇苺へびいちごといふ赤い丸い草の実のころがつて居る田のあぜには、彼の足もとから蝗が時折飛び跳ねた。
つちつちデ凡テ土ニ就テ生ズルモノヲ形容シテつちト云ツタためシハ頓医抄ニ「土いちごは蛇苺へびいちごにして」トアリ、又ぬすびとのあしノコトヲ本草類編ニつちとちナドヽ云ツテアル
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「あれは蛇苺へびいちごよ。あなたは花さえ見れば何でも薔薇だと思う人ね……」
あいびき (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
あののさめるやうなあか蛇苺へびいちごうまいことをつてよくとうさんをさそひましたが、そればかりはさはりませんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
蛇苺へびいちご蘭引らんびきこしらへあげた女。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
水沢瀉みずおもだか、えご、夜這蔓よばいづる山牛蒡やまごぼう、つる草、よもぎ蛇苺へびいちご、あけびの蔓、がくもんじ(天王草)その他田の草取る時の邪魔ものは、私なぞの記憶しきれないほど有る。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)