藤原ふじわら)” の例文
多年藤原ふじわら博士の心にかけて来られた渦巻うずまきに関する各種の現象でも、実にいろいろの不思議な問題が包蔵されているようであるが
物理学圏外の物理的現象 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
藤原ふじわら氏や将軍家にとって何がために天皇制が必要であったか。何がゆえに彼等自身が最高の主権を握らなかったか。
堕落論〔続堕落論〕 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
崇徳すとく、おん名は顕仁あきひと、鳥羽天皇の第一皇子として生まれ、おん母は、大納言公実きみざねのむすめ、藤原ふじわら璋子と申される。
今までは藤原ふじわらの内大臣の娘とも、源氏の娘とも明確にしないで済んだが、源氏の望むように宮仕えに出すことにすれば春日かすがの神の氏の子を奪うことになるし
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
この二つの声はほとんど同時に起こった。というのは、彼ら僧侶が遠く藤原ふじわら氏時代以来の朝野の保護に慣れて、不相応な寺領を所有するに至ったためである。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
第二室は天井てんじょうから明りを取った、横よりもたての長い部屋だった。そのまた長い部屋の両側を硝子ガラス越しにうずめているのは藤原ふじわらとか鎌倉かまくらとか言うらしい、ものびた仏画ばかりだった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
明日香あすか(飛鳥)の京から藤原ふじわらの京にうつられた後、明日香のさびれたのを悲しんで、志貴皇子しきのみこの詠まれた御歌である。遷都は持統八年十二月であるから、それ以後の御作だということになる。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ことごと肯綮こうけいに当るばかりでなく、最も侯爵を喜ばせたのは、幾百万の金銭にも換え難き名宝として珍蔵せる、藤原ふじわら時代の極彩色ごくさいしき仏画「閻魔天像えんまてんぞう」と、同時代の作、木造塗箔の阿弥陀如来あみだにょらい坐像との前に
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「はい、矢島やじまに、川崎かわさきに、そして藤原ふじわらです」
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
わが国で地球物理の問題に関係して藤原ふじわら博士や徳田とくだ博士の行なわれたいろいろの実験はこの意味においてきわめて興味の深い有益なものである。
自然界の縞模様 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
空穂うつぼ物語の藤原ふじわらの君の姫君は重々しくて過失はしそうでない性格ですが、あまり真直まっすぐな線ばかりで、しまいまで女らしく書かれてないのが悪いと思うのですよ
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
春日かすがの神意どおりに藤原ふじわら氏の皇后を自分の代に出すことができて、父の大臣は院の女御にょごを后位の競争に失敗させ、苦い思いをしたままでくなったのであるから
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
またかつて藤原ふじわら博士が私に話されたように、古来の大家によって夢想されて来た熱力学第二法則のアンチテーゼのようなものもうずの観察から予想されなくはないのである。
物理学圏外の物理的現象 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
火山の爆音の異常伝播いじょうでんぱについては大森おおもり博士の調査以来藤原ふじわら博士の理論的研究をはじめとして内外学者の詳しい研究がいろいろあるが、しかし、こんなに火山に近い小区域で
小爆発二件 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
日本人のものでは長岡ながおか博士の「田園銷夏しょうか漫録」とか岡田おかだ博士の「測候瑣談さだん」とか、藤原ふじわら博士の「雲をつかむ話」や「気象と人生」や、最近に現われた大河内おおこうち博士の「陶片とうへん」とか
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
(1) これについてはかつて藤原ふじわら博士が地理学評論誌上で論ぜられた事がある。
自然界の縞模様 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)