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薄暗
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うすやみ
ふりがな文庫
“
薄暗
(
うすやみ
)” の例文
挨拶
(
あいさつ
)
を交わして、そのままそこで立ち別れた。日はもうとっぷり暮れて、寒い寒い
乾
(
かわ
)
いた夕風が
薄暗
(
うすやみ
)
の中を音もなく吹いていた。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
で、この馬が近づいて來るのを、そして
薄暗
(
うすやみ
)
のなかに現はれて來るのを凝と見てゐるとき、私はベシーの話の何かを思ひ出した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
しかしこれに反して私が
辿
(
たど
)
って行く岨道は、冷たいペパミント色の
薄暗
(
うすやみ
)
に蔽われて、木の下の道なぞは月夜のように暗かった。
眼を開く
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そうしてそれから一時間の間、僕は
薄暗
(
うすやみ
)
の中に考えながら坐っていた。やがて一人の女中が泣きながらランプを持って来た。
グロリア・スコット号
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
親しい友達か、でなければ自分の夫とでも、一緒に乗つてゐるやうに、微笑を車内の
薄暗
(
うすやみ
)
に、漂はせながら、急に話しかけようともしなかつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
ようやく何度目かの勧めで、やっと、では、というように二人が立ちどまった時には、もう小半町先は、ものの
弁別
(
あやめ
)
も分かぬ
薄暗
(
うすやみ
)
に包まれていました。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
師父ブラウンが持物を集めるために傍らをむいた時に、三人の警官は
薄暗
(
うすやみ
)
の木蔭から
跳
(
おど
)
り出た。フランボーは芸術家であり、またスポーツマンであった。
青玉の十字架
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
そのうちに
薄暗
(
うすやみ
)
になって、すっかり視界を
遮
(
さえぎ
)
られてしまったのでやむなく下りてきました。まことに
遺憾
(
いかん
)
です
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
酒場
(
みせ
)
の前を避けるようにして、
霧次
(
ろじ
)
伝いにさっきの場所まで引返して来た女は、そこの街燈に照された
薄暗
(
うすやみ
)
の中で、倉庫の板壁へ
宮守
(
やもり
)
のようにへばりついたまま
動かぬ鯨群
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
戸口では急に
縺
(
もつ
)
れ
合
(
あ
)
いが始まり、板戸がコトリと鳴って月の出前の
薄暗
(
うすやみ
)
を五、六寸ばかり
展
(
ひろ
)
げられた。
手品
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
頭髪
(
かみのけ
)
を長く後に垂れて、
僅
(
わず
)
かに顔の白いのと衣物の白いのとが
薄暗
(
うすやみ
)
の裡にほんのりと見えるばかりだ。
日没の幻影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
かの女は壟斷された
薄暗
(
うすやみ
)
の鼻へおづ/\と進んで、「待つて下さい」と云ふ風で、あぶなツかしさうに少し腰をかがめて、向ふの下の方を見て、その鼻の幅だけを
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
鳥打帽
(
とりうちぼう
)
を
眼深
(
まぶか
)
にかぶり、古ぼけた将校マントに身を包んだ、三十前後の下品な男だ。彼は鉄の箱を飛び出すと、
草履
(
ぞうり
)
の音をペタペタさせて、走る様に表の
薄暗
(
うすやみ
)
に消えた。
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
暮れてゆく小川には家々のうごかない
薄暗
(
うすやみ
)
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
がしかし僕はすぐに、見上げた途端に、もう暮れかかった
薄暗
(
うすやみ
)
の空の前に、一人の人間の頭を見止めた。
空家の冒険
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
夕暮の
薄暗
(
うすやみ
)
はようやく濃くなりそめて来た。そしてロンドンの警官達にとっては、どこをどう辿ってよいか判らないこの追跡は今までにない不安極まるものであった。
青玉の十字架
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
その解けぬ
謎
(
なぞ
)
を考え
倦
(
あぐ
)
ねながら、私はいつまでもいつまでも
薄暗
(
うすやみ
)
の中に突っ立っていました。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
見ればいつのまにか、箱根山を包んだ薄霧の
帳
(
とばり
)
の上へ、このような方角に見ゆべきもない薄紫の富士の姿が、夕空高く、裾のあたりを
薄暗
(
うすやみ
)
にぼかして、クッキリと聳えていた。
闖入者
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
と、車内の
薄暗
(
うすやみ
)
の
裡
(
うち
)
でもハッキリと
判
(
わか
)
るほど、瑠璃子は勝平の方を向いて、
嫣然
(
えんぜん
)
と笑って見せた。勝平は、その一笑を投げられると、魂を奪われた人間のように、フラ/\としてしまった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
然
(
しか
)
るに、瑠璃子夫人は悠然と、落着いていた。親しい友達か、でなければ自分の夫とでも、一緒に乗っているように、微笑を車内の
薄暗
(
うすやみ
)
に、漂わせながら、急に話しかけようともしなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
西北に聳え立つ
御坂
(
みさか
)
山脈に焼くような入日を
遮
(
さえぎ
)
られて、あたりの尾根と云い谷と云い一面の樹海は
薄暗
(
うすやみ
)
にとざされそれがまた火のような西空の余映を受けて鈍く
仄
(
ほの
)
赤く
生物
(
いきもの
)
の毒気のように映えかえり
闖入者
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
薄
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
暗
常用漢字
小3
部首:⽇
13画
“薄暗”で始まる語句
薄暗闇
薄暗黒