蔦蔓つたづる)” の例文
建築用けんちくようの木材は火にてき切り又は打製石斧いしおのにてたたりしなるべし、是等をくくり合するには諸種のなわ及び蔦蔓つたづるの類を用ゐしなるべし
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
苔蒸こけむす欄干らんかんがくれに、けた蔦蔓つたづるめたのが、前途ゆくてさへぎるのに、はし彼方かなたには、大磐石だいばんじやくかれて、急流きうりう奔湍ほんたんと、ひだりよりさつち、みぎよりだうくゞり、真中まんなか狂立くるひたつて
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
赤い煉瓦れんが造りの壁面を蔦蔓つたづるがたんねんにい繁ってしまっている。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
クッヲロとは蔦蔓つたづるの類を指すと云ふ。此名を直譯すれば蔦蔓の下の人となる。恐くは屋根を造る材料として多くの蔦蔓を用ゐたるを云ふならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
思ふに竪穴の中央に數本の柱を建て是に棟梁を結び付け、周圍しうゐより多くの木材もくざいを寄せ掛け、其上を種々のもの、殊にふきにて覆ひ、蔦蔓つたづるの類にてつづり合はせて住居を作り上けたるならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)