“菽(まめ)” の例文
さうすると麥(むき)を刈(か)つた跟(あと)の菽(まめ)や陸穗(をかぼ)が渇(かつ)した口(くち)へ冷(つめ)たい水(みづ)を獲(え)た樣(やう)に勢(いきほひ)づいて、四五日(にち)の内(うち)に青(あを)い葉(は)を以(もつ)て畑(はたけ)の土(つち)が寸隙(すんげき)もなく掩(おほ)はれる。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
左岸の農夫も菽(まめ)を種ゑ、右岸の農夫も菽を作つた。然るに秋水大に漲つて左岸の堤防は決潰し、左岸の堤防の決潰した爲に右岸の堤防は決潰を免れたといふ事實が有る。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
月代(つきしろ)や煮仕舞たる馬の菽(まめ) 広房
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
人と菽(まめ)とを同一に論ずることは出來ぬが、三代以上純粹の倫敦人は漸く羸弱に傾くといふ説の生じたるが如き事實は、たゞに都會生活の不良なる事を語るのみでは無く
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
其(そ)の切(き)り端(はし)は其(そ)の翌朝(よくあさ)各自(かくじ)が自分(じぶん)の田畑(たはた)をぐるりと廻(まは)つては菽(まめ)や稻(いね)の穗(ほ)や其(そ)の他(た)の作物(さくもつ)を佛(ほとけ)へ供(そな)へるのであるが、佛(ほとけ)も其(そ)の朝(あさ)野廻(のまは)りに出(で)るのだといふので其(その)佛(ほとけ)の笠(かさ)に供(そな)へるのだといふのである。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
前に擧げた左岸の農夫が菽(まめ)を植ゑて收穫を得ざりし場合に、其の農夫にして運命を怨み咎むるよりも、自ら責むるの念が強く、是我が智足らず、豫想密ならずして是の如きに至れるのみ
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)