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草道
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くさみち
その
夜、
燈火の
下で
旅人は、
親戚の
人々に、その
日不思議な
美しい
女を
見たこと、そして、その
女はあちらのさびしい、
山のすその
方へと
草道を
分けていったことを、
話したのであります。
こおろぎの
音も
細々と
明け
暮れて、
風に
乱れる
芒叢に、三つ四つ五つ、
子雀の
飛び
交うさまも、いとど
憐れの
秋ながら、ここ
谷中の
草道ばかりは、
枯野も
落葉も
影さえなく、
四季を
分たず
咲き
競うた