草山くさやま)” の例文
この時部落のうしろにある、草山くさやまにれの木の下には、ひげの長い一人の老人が天心の月を眺めながら、悠々と腰を下していた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
暫時しばらくすると箱根はこね峻嶺しゆんれいからあめおろしてた、きりのやうなあめなゝめぼくかすめてぶ。あたまうへ草山くさやま灰色はひいろくもれ/″\になつてはしる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そのあたりは前岸ぜんがんから見ると草山くさやまのようになっているが、人の背たけほどもあるような箱根名物の篠竹と樹木が絡みあっていた。武士はこんな山ではとても見はらしがきくまいと思った。
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
大連の港のうへの草山くさやまに桔梗の色す初夏のかぜ
草山くさやまこオえて、えて
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あるうららかな春の日暮、彼は弓矢をたばさみながら、部落の後に拡がっている草山くさやまひとくだって来た。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
大連の港の上の草山くさやまに桔梗の色の初夏を嗅ぐ
友の指車にとがる大連の測候所ある草山くさやまのもと