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苛辣
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からつ
ふりがな文庫
“
苛辣
(
からつ
)” の例文
寝るにも起きるにも、自分ばかりを
凝視
(
みつ
)
めて暮しているような、年取った母親の
苛辣
(
からつ
)
な目が、房吉には段々
厭
(
いと
)
わしくなって来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼の鼻の先が
反返
(
そりかえ
)
っているごとく、彼は
剽軽
(
ひょうきん
)
でかつ
苛辣
(
からつ
)
であった。余はこの鼻のためによく
凹
(
へこ
)
まされた事を記憶している。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、暗黙な
苛辣
(
からつ
)
な口に出せない
怨恨
(
えんこん
)
が、病苦の
無辜
(
むこ
)
な原因者にたいして、子供にたいして、起こってきた。それは、人が思うほど珍しい感情ではない。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
遂に全く息もつかせず瞬く間に攻落して
終
(
しま
)
って、討取る首数六百八十余だったと云うから、城攻としては非常に短い時間の、随分激烈
苛辣
(
からつ
)
の戦であったに疑無い。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
自分の健康が掘りだしたばかりの土塊のような
苛辣
(
からつ
)
な北海道の気候に堪えないからとは言いたくなかったので、さらに修業を続けたいのだというよりしかたがなかった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
飛入りの三輪の万七の
苛辣
(
からつ
)
な調べが、平次にいろいろの事を教えてくれるのでしょう。
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
古来、人間に加えられた重大なる抑圧と、
苛辣
(
からつ
)
なる課税の筆頭は恋愛でありました。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし他の友人以外の人たちは、こうした佐々木の挨拶を聴いてどう思ったか、それは私には分らない。何となれば今度の笹川の長編ではモデルとして佐々木は最も
苛辣
(
からつ
)
な扱いを受けている。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
修業のためには
甘
(
あま
)
んじて
苛辣
(
からつ
)
な
鞭撻
(
べんたつ
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は時々芳太郎の気分を、数学や英語の方へ
牽
(
ひ
)
きつけようと力めた。その結果、彼は時々思ひのほか
苛辣
(
からつ
)
な言葉を口へ出さなければならなかつた。
花が咲く
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
いかに
憐
(
あわ
)
れみの微笑でながめられることであろう! 力強い人生とその
苛辣
(
からつ
)
な努力とについても、もはや眼にはいるものは、不滅らしく思える一時の花ばかりである……。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
が、物事はそんなうまい具合には行かず、錢形平次の代りに、事毎に平次と手柄爭ひをする、強引
苛辣
(
からつ
)
な岡つ引、
三輪
(
みのわ
)
の萬七親分が、子分のお
神樂
(
かぐら
)
の清吉と共に乘込んで來ました。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
クリストフは古い書物から立ちのぼる
苛辣
(
からつ
)
な
息吹
(
いぶ
)
きに、元気づけられた。シナイの風が、
寂寞
(
せきばく
)
たる
曠野
(
こうや
)
と力強い海との風が、
瘴癘
(
しょうれい
)
の気を吹き払った。クリストフの熱はとれた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
苛辣
(
からつ
)
な言葉に、若い女中はハッと立ちすくみました。
判官三郎の正体
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
放縦
苛辣
(
からつ
)
な古い性質をなおもっていた——(その後になると非常に変わってはきたが。)理性の
軛
(
くびき
)
に否応なしに縛りつけられてる人の精神を、勝手気ままに解き放すというのが
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
規律に
撓
(
たわ
)
められ、自分の仕事に心を奪われ、
仕甲斐
(
しがい
)
のない職業のためにたいていは多少とも
苛辣
(
からつ
)
になっていて、オリヴィエが自分らと異なったことをやりたがるのを許し得なかった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そのとき人がになわせられるものは、苦難や疲れた経験や裏切られた知能と愛情など、過去の大なる重荷である——古来の生活の大
桶
(
おけ
)
である。桶の底には、
倦怠
(
けんたい
)
の
苛辣
(
からつ
)
な
滓
(
かす
)
がたまっている……。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
クリストフは、この
溌溂
(
はつらつ
)
たる率直さの
苛辣
(
からつ
)
な新鮮味を賞美した。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
苛
常用漢字
中学
部首:⾋
8画
辣
常用漢字
中学
部首:⾟
14画
“苛”で始まる語句
苛
苛立
苛々
苛責
苛酷
苛烈
苛斂誅求
苛苛
苛税
苛政