船着場ふなつきば)” の例文
初代や、お前は私達夫婦が若かった時分、大阪の川口かわぐちという船着場ふなつきばで、拾って来て、たんせいをして育て上げた子なのだよ。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ほどなく兵馬の姿は大湊の町の船着場ふなつきばへ現われました。あの場ではお絹を怒らせて袖を振り切ってここへ来てしまいました。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
町の人は、三人四人と組んで自警団じけいだんをつくり、鉄砲てっぽうやこんぼうをもって警戒けいかいにあたった。みなと船着場ふなつきば汽車きしゃ停車場ていしゃば、おもだった道の出入り口。
大正十二年たいしようじゆうにねん關東大地震かんとうだいぢしんおい熱海港あたみこう兩翼りようよくすなはきた衞戍病院分室えいじゆびよういんぶんしつのあるへんみなみ魚見崎うをみざきおいてはなみたか四五尺しごしやくしかなかつたが、船着場ふなつきばでは十五尺じゆうごしやく
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
商家の店さきに来て入船の祝言をとなえていたということが、多くの書き物に残っているが、これなどもやはりいろいろの段階において今も諸国の船着場ふなつきばには行なわれている。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そう云えばいつぞや常陸ひたちの国の平潟ひらかたの港に遊んだ時、入り江を包む両方の山の出鼻に燈籠があって岸にはずっと遊女の家が並んでいたのを、いかにも昔の船着場ふなつきばらしい感じだと思ったことがあるのは
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「まるで船着場ふなつきばのホテルのやうだね。いつでもうかしら。」
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
火山毛かざんもうはその産物さんぶつとしてもつと有名ゆうめいである。山上さんじよう有名ゆうめい火山觀測所かざんかんそくじよがある。また觀光客かんこうきやくのためにひらいた旅館りよかんもあり、ハワイとう船着場ふなつきばヒロからこゝまで四里よりあひだ自動車じどうしやにて面白おもしろ旅行りよこう出來できる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)