自滅じめつ)” の例文
同時に、「現代の日本人の感情は、詩とするにはあまりに蕪雑である、混乱している、洗練されていない」という自滅じめつ的の論理を含んでいる。
弓町より (新字新仮名) / 石川啄木(著)
菊太夫が菊治だとすると、大分筋がはつきりします。すぐ捕へる積りで、八の野郎と探し廻つて居るうちに、たつた一日違ひで自滅じめつして了ひました
そうして自分じぶん哲人ワイゼかんじている……いや貴方あなたこれはです、哲学てつがくでもなければ、思想しそうでもなし、見解けんかいあえひろいのでもい、怠惰たいだです。自滅じめつです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
西風にじょうじて火をはなたば、前方のけん城兵じょうへい墓穴はかあな、とりでも自滅じめつのほかはあるまいと思うがいかに
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「恰で包圍攻撃ほういこうげきを喰つてゐるんだ!」と嗟嘆さたんして、此うしてゐては、つひ自滅じめつまぬかれぬと思ふ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それより、ずっと前、旦那どのは、大体の輪廓りんかくを知ったので、憎むべき二人に対して、どんな復讐ふくしゅうをしようかと、画策かくさくした。その結果、考え出したのは、世にも恐ろしい二人の自滅じめつ計画だった。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
君達は、萬物の理想は自滅じめつに在り、てえことを知つてるかね。たとへばだ、醫者といふものは病氣を直すことが仕事で、その理想は、この全世界の人類から、あらゆる病氣を驅逐するのが理想なんだ。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
島五六郎を自滅じめつさせたかつたのだ、——その爲に千本の家まで潰れるかも知れないことを考へても居なかつた、——昔から妬婦とふ程恐ろしいものはないといふよ
と、まこと都合つがふ哲學てつがくです。さうして自分じぶん哲人ワイゼかんじてゐる……いや貴方あなたこれはです、哲學てつがくでもなければ、思想しさうでもなし、見解けんかいあへひろいのでもい、怠惰たいだです。自滅じめつです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「旦那。——私は死んでも思ひ置くことはございません。あんな山師を自滅じめつさせて、諸人の迷惑を取除けば」