)” の例文
硝子戸ガラスどうちから外を見渡すと、霜除しもよけをした芭蕉ばしょうだの、赤いった梅もどきの枝だの、無遠慮に直立した電信柱だのがすぐ眼に着くが
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「蟻じゃない。こうして、天気のい時に、花粉を取って、雌蕊へ塗り付けて置くと、今に実がるんです。暇だから植木屋から聞いた通り、遣ってる所だ」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「蟻ぢやない。うして、天気のい時に、花粉をつて、雌蕊しずゐへ塗りけて置くと、今にるんです。ひまだから植木屋からいた通り、つてる所だ」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
芭蕉ばしょうに実がると翌年あくるとしからその幹は枯れてしまう。竹も同じ事である。動物のうちには子を生むために生きているのか、死ぬために子を生むのか解らないものがいくらでもある。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
枝にはまだ熟しない云訳いいわけほどって、その一本のまたの所に、から虫籠むしかごがかかっていた。その下にはせた鶏が二三羽むやみに爪を立てた地面の中をえたくちばしでつついていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その垣には珊瑚樹さんごじゅの実が一面にっていて、葉越に隣の藁屋根わらやねが四半分ほど見えます。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)