真個まったく)” の例文
旧字:眞個
真個まったく、其のことばに違はないもんですから、主人も、客も、座を正して、其のいはれを聞かうと云つたの。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
仰々ぎょうぎょうしく言出いいだすと、かたき髑髏しゃれこうべか、毒薬のびんか、と驚かれよう、真個まったくの事を言ひませう、さしたる儀でない、むらさききれを掛けたなりで、一しゃくずん一口ひとふり白鞘しらさやものの刀がある。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
貴下あなたのお姿を見て、それから心持こころもちが悪くなりましたって、言通ことばどおりの事が、もし真個まったくなら、どうして口へ出して言えますもんですか。貴下あなたのお姿を見て、それから心持が悪く……
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これが空蝉うつせみになって、二人は、裏の松山へ、湯どのから消失きえうせたのではなかろうか——仰山ぎょうさんなようであるが真個まったく……勝手を知った湯殿の外までそっと様子を見に行ったくらいです。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お分りになりにくうございましょうから。……一斉いちどきに、その何十人かの目が目ばかり出してじっと覗いたのです。みはる、またたく、ひとみが動く。……馬鹿々々しいが真個まったくです。睜る、瞬く、瞳が動く。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
真個まったくです、その時戸を出たらば魔にられたに相違ありません。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はじめは串戯じょうだんらしかつたが、のち真個まったくいざなつた。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
真個まったくは、寝ていましたの……」
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)