理非りひ)” の例文
『そうも云えるのう。……何じゃ、まだまぬようではないか。理非りひはいずれにもせい、藩邸の内で、双方とも不作法千万、見てまいれ』
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分には何のとがが有ってこんな理非りひ顛倒てんどうの侮辱を受けるのであろう。考えれば考えるほど、冬子は口惜くやしくってたまらなかった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
出すひまの有べきや其方はなさけなき爲方しかたなり是には何か樣子やうすあらんといはれしかば粂之進くめのしん心中しんちういきどほり小身せうしんなりともそれがしも上の御扶持ごふち頂戴ちやうだいことに人の理非りひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たゞす奉行しよくなるぞ私しが事で濟ものか九助事は確乎なる證據有により數日すじつ吟味なす所なり如何に土民どみんなればとて理非りひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
刀のぬけない場所ばしょだけに、いたずらに声ばかり高く、理非りひもめちゃくちゃにののしる声が、一火いっか龍太郎以下りゅうたろういかの者を取りまいて、身うごきもさせない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
をさめずやとかゝをりにも老功なれば物に動ぜず理非りひ明白めいはくのべさとせし父が言葉ことばにお光はやう/\承知してやいばのり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
神のおなわをあずかって、神庭しんてい狼藉者ろうぜきもの捕縛ほばくする使いである。理非りひはともあれ、御岳みたけおきてを見るなかれ」のちかいをやぶった忍剣にたいして、とうぜん、そのご神縄しんじょうがくだったのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)