玉章ふみ)” の例文
……同じ事を、絶えず休まずに繰返して、この玩弄物おもちゃを売るのであるが、玉章ふみもなし口上もなしで、ツンとしたように黙っているので。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
午飯おひるに、けんちんをべていた。——なつことだし、先生せんせい令夫人れいふじん心配しんぱいをなすつて、お實家方さとかたがお醫師いしやだから、玉章ふみいたゞいて出向でむくと、診察しんさつして、打傾うちかたむいて、また一封いつぷう返信へんしよさづけられた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だつて、なん企謀たくらみあそばすんではなし、ぬしのあるかただとつて、たゞ夜半よなかしのんでおひなさいます、のあの、垣根かきね隙間すきまそつとおらせだけの玉章ふみなんですわ。——あゝ、此處こゝでしたよ。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)