片時へんし)” の例文
武士の大小であるから片時へんしも離すことはできない。今夜じゅうにはきっと請け出すと番頭を口説いて、彼は二両二歩を借り出した。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「恐れながら、恐れながら拙者せっしゃとても、片時へんしも早く、もとの人間に成りまして、人間らしく、相成あいなりたう存じます。とうげを越えて戻ります。」
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
半日片時へんしの間に経基に見破らるべき間抜さをあらはすはずも無いから、此時は未だ叛をはかつたとは云へない。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ヂュリ や、人聲ひとごゑ? なりゃ、片時へんしはやう。……おゝ、うれしや、短劍たんけん!(ロミオが佩びたる短劍を取りて)さ、さやはこゝに。(と胸を貫き)そこに居附ゐついて、わしなせてくれ。
と心には片時へんしも大原を忘れず。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
たび疲労つかれらつしやらうか、なんなら、今夜こんやわし小家こややすんで、明日あすばんにも、とふたが、それにはおよばぬ……しや、それ真実しんじつなら、片時へんしはや苦艱くかんすくふてしんぜたい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くちさへけば pardonnezパルドンネ-moisモア, pardonnezパルドンネ-moisモア! 新型しんがた細袴ずぼん穿かねば、半時はんとき片時へんしってをられぬ如是あゝいふ蝱共あぶどもなやまされねばならぬとは? おゝ