たき)” の例文
旧字:
○さるほどにつまいへにかへりに火をたきたて、あたゝかなるものくはせんとさま/″\にしつらへ待居まちゐたりしに、時うつれどもかへりきたらず。
翁のゆきし後、火はくれないの光を放ちて、寂寞じゃくばくたる夜の闇のうちにおぼつかなく燃えたり。夜更け、潮みち、童らがたきし火も旅の翁が足跡も永久とこしえの波に消されぬ。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
着古しの平常衣ふだんぎ一つ、何のたきかけの霊香れいきょう薫ずべきか、泣き寄りの親身しんみに一人のおととは、有っても無きにおと賭博ばくち好き酒好き、落魄おちぶれて相談相手になるべきならねば頼むは親切な雇婆やといばばばか
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
にははしらにもなるべき木を惜気をしげもなくたきたつる火影ほかげてらすを見れば、末のむすめは色黒いろくろ肥太こえふとりてみにくし。をり/\すそをまくりあげて虫をひらふは見ぐるしけれどはぢらふさまもせず。