“為(せゐ)” の例文
旧字:爲
さうして先刻(さつき)と同じやうな鹿爪らしい顔付で、寒い為(せゐ)かいくらか鼻頭をあかくして、——尚も家路とは反対な同じ道をヒヨロ/\と歩いてゐた。
失題 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
其(そ)の名(な)を直(す)ぐに号(がう)にして、今(いま)、こんな家業(かげふ)を為(す)るやうに成(な)つたのも、小児(こども)の時(とき)から、其(そ)の像(ざう)の事(こと)が、目(め)にも心(こゝろ)にも身躰(からだ)にも離(はな)れなかつた為(せゐ)なんです。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
今のやうなメカに暗誦させる流義では云はゞ鸚鵡石(あうむせき)を覚えるやうなもんで何の役にも立たない。試験法の不完全は解り切つておるが、落第生の多いのは此(この)為(せゐ)ぢやアあるまい。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
暑かつた為(せゐ)か随分出ますね。家の子供達も今帰つて来ましたが折角買つた紅提灯を
蚊 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「疳の虫の為(せゐ)だよ、お前……セメエンでも飲ましたらどうだい。」と祖母の声。
疳の虫 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)