失題しつだい
一刻も早く家へ帰り度い気持と、それとは反対に、どこかへ行つて見度いといふ気持——がその二つの心にのみ面接してゐたといふ程ではなく、ただその朧ろげな二つの気持を「空漠」とした白さが濡紙のやうにフワリと覆つて、つまり彼はその三つの心を蔵して歩い …
作品に特徴的な語句
せゐ 先刻さつき