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濡椽
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ぬれえん
殊に便所は座敷の
傍の細い
濡椽伝いに
母家と離れている様な具合、当人も
頗る気に入ったので
直に
家主の
家へ行って相談してみると、
屋賃も思ったより
安値いから非常に喜んで
不図気がついて
見ると、
向うの
崖を
少し
削った
所に
白木造りのお
宮が
木葉隠れに
見えました。
大さは
約二
間四
方、
屋根は
厚い
杉皮葺、
前面は
石の
階段、
周囲は
濡椽になって
居りました。
枕許の
手燭へ
燈をつけて、例の細い
濡椽を伝って便所へ行った、闇夜の事なので庭の
樹立等もあまりよく見えない、
勿論最早夜も
更け渡っているので
四辺はシーンと静かである