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澄明
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ちょうめい
ふりがな文庫
“
澄明
(
ちょうめい
)” の例文
これは秋の水蒸気の少ない空気の
澄明
(
ちょうめい
)
な空の或現象を描いたもので、晴れ渡った青い秋の空にも少しばかりの白い雲がある。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
診察着のポケットに両手を突込んだまま、依然として
基督
(
キリスト
)
じみた憂鬱な眼付で見下しつつ、静かな、
澄明
(
ちょうめい
)
な声で答えた。
怪夢
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
旧教の
殻
(
から
)
が脱けきれないのか、
研鑽
(
けんさん
)
が浅いのか、とにかく、肚の底まで、念仏そのものに、
澄明
(
ちょうめい
)
になりきれない者たちだった。善信は、心のうちで
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは見たところ、
黄金
(
おうごん
)
の形は一向に無くて、
澄明
(
ちょうめい
)
な液体に過ぎなかったが、しかし本当は九万円の黄金が、この液体の中に溶けこんでいるのだった。それは何故か?
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
わたしは舷檣に
倚
(
よ
)
りかかりながら、周囲にひろがっている大氷原に、今しも沈もうとしている太陽の投げる
澄明
(
ちょうめい
)
な光りを心から感歎して眺めていると、その夢幻の状態から
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
▼ もっと見る
奇怪な神秘の
顕現
(
けんげん
)
に
慄然
(
りつぜん
)
としながら、今、彼の魂は、北国の冬の湖の氷のように極度に
澄明
(
ちょうめい
)
に、極度に張りつめている。それはなおも、
埋没
(
まいぼつ
)
した前世の記憶の底を
凝視
(
ぎょうし
)
し続ける。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
また子を産んで、水を更えた後の
藻
(
も
)
の色のように彼女の美はますます
澄明
(
ちょうめい
)
と絢爛を加えた。復一が研究室に額にして飾っておく神魚華鬘の感じにさえ、彼女は近づいたと思った。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その声は
澄明
(
ちょうめい
)
で、鉱物音を交え、林間に反響しているところなどは、
或
(
あるい
)
は人工的のもののような気もするが、よくよく聴くと、何か
生物
(
いきもの
)
の声帯の処をしぼるような肉声を交えている。
仏法僧鳥
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
谷の流れが
澄明
(
ちょうめい
)
、底石の姿がはっきりとなる、朝と夕べのまずめであろう。
雪代山女魚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
いやそうしてその生命と希望をも越えて、いよいよという最期にいたるもこれに乱されない
澄明
(
ちょうめい
)
なものにまで、天地と心身をひとつのものに観じる修行でもあった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その指す方には、空気のない
澄明
(
ちょうめい
)
なる空間をとおして、新宇宙艇の
雄姿
(
ゆうし
)
が見えた。「誰か、艇内からピストルを
放
(
はな
)
ったよ。撃たれた方が、いま砂地に倒れちゃった。誰がやられたんだろう」
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と思うと、忽ち一片の雲だにない
澄明
(
ちょうめい
)
の青空に、飽くまであざらかなその
姿容
(
しよう
)
を示す日もある。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここまでは
澄明
(
ちょうめい
)
を持ちこたえて聖域へ
攀
(
よ
)
じのぼる一心に何ものの
障碍
(
しょうげ
)
もあらじと思い固めて来た決心も、いったん心の底に響きをあげて
埋地
(
うめち
)
のような
陥没
(
かんぼつ
)
を見てしまうと
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人の肉眼には見えない微細な
黴
(
かび
)
や虫や
塵
(
ちり
)
ほこりがもし見えたら、その人間の不幸であるように——彼の
澄明
(
ちょうめい
)
な頭脳には、余りにも、周囲の音なきうごきや闇の争いまでが見えすぎて
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうだ。むずかしい、がまた、やさしいともいえる。心さえ
澄明
(
ちょうめい
)
にしておればよいのだ、妄想なく。——それゆえに、他の士卒には、命じておかれぬ。しばしだが、そちに代らせておくわけじゃ」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
澄明
(
ちょうめい
)
な頭脳はそのいうことばの適切と冷静がよく証拠だてていた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“澄明”の意味
《名詞》
気体や液体がにごりなく澄みきっていること。透明。
(出典:Wiktionary)
澄
常用漢字
中学
部首:⽔
15画
明
常用漢字
小2
部首:⽇
8画
“澄”で始まる語句
澄
澄渡
澄切
澄江
澄徹
澄憲
澄透
澄心
澄見
澄澈